前節、アウェイでの横浜FC戦に臨んだ鳥栖はスコアレスドローに終わった。ただ、守備面については収穫もあった。9月以降はJ1残留争いを繰り広げるチームとの対戦が続いていた。自分たちのスタイルに変化を加えてでも、鳥栖対策としてブロック守備からのカウンターを狙うチームに苦戦を強いられ、相手の狙いどおりにカウンターからの失点が続いていた。しかし、前節はチームとしてリスク管理を徹底。やや後ろ重心にはなったものの、課題としていたカウンターからピンチを招くようなシーンは見られずに無失点を達成。攻撃ではやや迫力を欠いてしまったが、守備意識の向上と再建という点では成功体験を得られたと言えるだろう。
一方の川崎Fは前節、ホームで浦和と対戦。優勝が懸かった試合で、33分にCKの流れからジェジエウが先制点を奪う。後半もペースを握りながら試合を進めていたが、勝利が間近に迫った89分に落とし穴が待っていた。伊藤 敦樹のシュートのこぼれ球を酒井 宏樹にねじ込まれ、土壇場でスコアを振り出しに戻されてしまう。川崎Fは最終盤に決定機を作ったが、試合は引き分けで終了。それでも、2位の横浜FMがG大阪に敗れ、川崎Fの2年連続四度目のリーグ制覇が決まった。シーズン途中に三笘 薫、田中 碧といった主力が海外移籍。一時は横浜FMに勝点差1まで接近されたが、難局をはねのけての優勝を達成。34試合終了時点では昨季の勝点83を上回る勝点85を獲得しており、まさに王者と呼ぶにふさわしい数字を残している。
ここ最近は対策に苦しめられてきた鳥栖だが、今節はそのストレスから解放されるだろう。相手に合わせるのではなく、どんな相手でも自分たちのスタイルでねじ伏せる川崎Fが相手となるだけに、鳥栖も真っ向から自分たちのスタイルをぶつけるはずだ。前回対戦でも鳥栖は川崎F相手にマンツーマン気味に守備を展開し、互角に近い戦いを繰り広げた。退場者を出してしまったことで最後は力負けしたが、今回も恐れることなく真っ向からぶつかっていくことが予想される。鳥栖対策で変化を加えてくるチームではないが、だからといって簡単な相手でもない。絶対王者を打ち破るには120%以上の力が求められる。長らく勝利から遠ざかっているだけに、勝利への希求心を一つひとつのプレーに込めて、川崎F攻略を目指したい。
シーズンも残すところ4試合。すでに残留が決定し、AFCチャンピオンズリーグ出場権獲得も絶望的となった鳥栖だが、王者相手に自分たちのスタイルがどれだけ通用するか。確かな自信をつかみ取るためにも、挑戦者として攻守にアグレッシブな姿勢で勇敢に戦いたい。
[ 文:杉山 文宣 ]
