Jリーグ最多の優勝回数を誇る鹿島は過去最長となる5年連続の国内タイトル無冠となっているが、鹿島を優勝回数で追うG大阪も6年栄冠から遠ざかっている。
川崎Fの“一強独占”にピリオドを打つべき立場にある両者だが、似た立ち位置で新シーズンを迎えている。
G大阪は西野 朗監督体制と長谷川 健太監督体制をそれぞれコーチとして支えた片野坂 知宏監督を新たに迎えたが、鹿島もクラブ史上初めて欧州から指揮官を招聘。新たにレネ ヴァイラー監督が就任した。
まずホームチームであるG大阪の状況から整理しておこう。「強いガンバを取り戻す」と1月の新体制会見で力強い言葉を口にした片野坂監督だが、リーグ戦における今季の目標は3位以内。常勝軍団の復権に向けて、指揮官がまず取り組むのは攻撃的なスタイルの再構築である。
昨季まで率いた大分時代には独特のパス回しが“カタノサッカー”と称されたが、片野坂監督は積極的にボールを握りながら試合を支配する戦い方をG大阪で目指す。
基本ベースとなるのは、大分時代と同様に3バックが濃厚。ただ、大分時代のコピーをG大阪で見せるつもりはない。「大分時代のサッカーというよりは、いまG大阪にいる選手の特徴をしっかりと見てくれて、出る選手が一番力を出せるようなサッカーをやってくれている」と今季からキャプテンに就任した倉田 秋も言う。
最終ラインから丁寧にボールをつなぎ、攻守両面で選手の立ち位置を重視する組織的なサッカーの構築を目指すG大阪ではあるが、片野坂監督はリーグ屈指のタレントがそろう強みも生かしていく考えだ。
宇佐美 貴史がトップデビューした当時、コーチの肩書きだった片野坂監督は、宇佐美のポテンシャルの高さを知り尽くしている。
「貴史が今季2ケタ得点に絡むことが、チームが上位で戦える要因になる」(片野坂監督)。ビルドアップに関わる自由も与えられてはいるが、昨季6得点に終わった和製エースの輝きが、やはり鹿島撃破には欠かせない。
15日に行われたキックオフカンファレンスで宇佐美も『2022明治安田J1開幕対戦カードオンライン記者会見』の中で「鹿島は全力でぶつかっていくだけの価値があるクラブ。僕らの状況的にも胸を借りるつもりで全力でぶつかっていきたい」と気合い十分だ。
一方、鹿島も新監督の下で復権を目指すが、レネ ヴァイラー監督はコロナ禍による入国制限もあって、いまだチームには合流していない。13日に行われた水戸とのいばらきサッカーフェスティバルでは岩政 大樹コーチが監督代行を務めたが、0-1で敗戦。ただ、鈴木 優磨がチームに復帰し、鳥栖から樋口 雄太が加入。宇佐美とともに会見に参加した荒木 遼太郎も「前線のタレントもそうだし、攻撃力も自分たちの強みになってくる」と厚みを増した前線の陣容に自信を見せている。もちろん、荒木自身も2年連続の開幕戦ゴールを虎視眈々と狙っている。
再起を期す両雄が目指すのはいずれも白星スタート。見ごたえのある90分になるのは言うまでもない。
[ 文:下薗 昌記 ]
