AFCチャンピオンズリーグ(ACL)グループステージの戦いでチームを底上げし、連係を深め自信を取り戻した浦和だったが、その間に順位は16位(前節開始時点)まで落ちていた。「これからの目標はJリーグで上位とのポイントを詰めること」(リカルド ロドリゲス監督)。意識を切り替えて国内復帰戦となる前節・柏戦に臨んだが、スコアレスドローで終えた。
大半の時間でボールを握り、敵陣で試合を進めながらもゴールを陥れられず、リーグ中断前の課題だった得点力不足の課題が継続された。リーグ戦では5戦負けなしながら、4戦連続引き分けで2試合連続のスコアレス。ピンチの数が少ない展開はチームコンセプトどおりだが、チャンス数に比して得点が少なく、チャンス数に対する決定機の少なさも今季ずっと抱えている課題となっている。
さらに、前節は後半に入ってペースが低下。柏が戦術的な修正を施してきたこともあったが、ACL連戦の疲労や体内時計のズレ、帰国後も隔離期間があったことなど、コンディション面も影響していたように見受けられた。今回は週末から週末の間隔とはいえ、日曜日から金曜日と中4日。コンディションをどれだけ整えられるかもカギを握るだろう。
そして、柏戦では結果につながらなかったが上昇の兆しが見えてもいた。これまでなかなかうまく合わせられなかったダヴィド モーベルグからのクロスや、アレックス シャルクへのラストパスなど、選手間の相互理解が深まったことで紙一重のシーンはいくつも現出していた。今節からは厳しい相手との連戦が続くが、逆に一気に順位を上げていくチャンスでもある。浦和の反撃の日は近い。
一方の広島はすでに上昇期にある。開幕5戦こそ勝星がなかったが、4月に入ってからは1敗を喫したのみ。明治安田J1第9節から前々節にかけては2分1敗とやや勢いが止まったかにも見えたが、前節は首位・鹿島を3-0で粉砕。内容的にも完勝と言っていいものだった。
広島の強みはやはり、強烈なプレッシングを基調とした守備力だろう。前線には運動量があって献身的な選手がそろい、後方にも塩谷 司、荒木 隼人、日本代表・佐々木 翔らの強力な守備陣が構えており、崩し切るのは容易ではない。浦和としては、いかにミヒャエル スキッベ監督の仕掛けてくるプレスをかいくぐれるか、その後の最終ラインをどう突破するか。困難なミッションが待ち構える。もちろん攻撃陣も脅威で、ナッシム ベン カリファの得点能力は未知数だが、激しいディフェンスと運動量でジュニオール サントスを引き立てている。
そしていま最も警戒すべきは、シャドーの満田 誠だろう。前節でもたびたび鹿島守備陣を悩ませるポジション取りでボールを引き出し、さらには自ら仕掛けてゴールを挙げて見せた。勢いに乗っているルーキーを流通経済大の先輩である伊藤 敦樹、江坂 任がどう抑えるのか。そして、安居 海渡、宮本 優太との同期対決は実現するか。“流経大”のぶつかり合いにも注目したい。
[ 文:沖永 雄一郎 ]
