ただここにきて、少し厳しい状況にもなっている。8日の第32節・福岡戦では痛い逆転負けを喫したこともあり残留を確定させられなかった。残り3試合で、J1参入プレーオフ圏内との勝点差が『5』、自動降格圏との差が『6』と、危険性は少ないが予断を許さない状況でもある。
そしてピッチ内では、中盤の人員不足が発生している。深井 一希と宮澤 裕樹が離脱中の中、第31節・川崎F戦では荒野 拓馬、福岡戦では駒井 善成が相次いで負傷交代。福岡戦では西 大伍や青木 亮太、ガブリエル シャビエルら本職ではない選手たちがボランチを務める事態に。今節は高嶺 朋樹が出場停止から復帰するが、その相方に誰を配するか悩ましいところだろう。
一方の浦和は、直近の第32節の前までが非常に苦しい状況だった。JリーグYBCルヴァンカップ準決勝第2戦のC大阪戦、第31節・広島戦で立て続けに4失点を喫してチームは停滞。守備が崩壊したというよりも、前線から激しいプレスを受けた際の対応がうまくいかずに、攻撃の失敗から失点を招いていた。
ただ、直近の第32節・鳥栖戦では「ピリッとした良い雰囲気になっている」(チーム関係者)と立て直してきた。C大阪、広島と同様にプレスとポゼッションに一家言ある鳥栖に対して、割り切った戦い方を選択。
「相手を見ながら、そしてどこで優位性を取れるかなどをしっかりと見ながら、相手の状況に応じて適切な判断をしていたと思います」 リカルド ロドリゲス監督は試合をそう振り返った。「どうしてもやり方を変える(必要がある)部分があった」とも語り、最も表現したい形ではなかったニュアンスも感じられたが、相手の長所を極力発揮させない試合運びができた。
何より大きかったのは、チーム全体で意思統一が感じられた部分だろう。広島戦では、長いボールで裏を狙うことも難しかった。「広島戦はみんなが自陣にとどまっている景色だった。ああなると相手も奪いにいきやすくなってしまう」と、西川 周作もGKから見た景色の違いを感じていた。
皆が認識を合わせることでロングボールも機能した。攻守ともにいささか極端になるシーンも散見されたが、背後を突くことで相手の足が止まり、逆にポゼッションをする時間帯も生まれていた。バリエーションがあってこそ得意な形も機能する。
そして今節も、積極的に奪いにくるチームが相手となる。札幌は鳥栖と比較してもマンツーマン志向が強い。実はリカルド ロドリゲス監督就任以降、札幌には2分1敗とまだ勝てていない。マンツーマンプレスを回避するためにロングボールを多用する、個ではがすことを主体にするなど対策を施しながら、結果としては成功を収めてはいない。
相手を裏返そうとして、あまりにせわしない展開となるとそれは札幌のペースでもある。速攻と遅攻、背後へのパスと間へのパスをいかに使い分けてバランスよく戦えるか。自分たちのペースにどれだけ引き込めるかがカギとなる。
[ 文:沖永 雄一郎 ]
