四方田監督は1998年のフランスW杯に挑む日本代表で分析スタッフを務めていた。翌1999年、札幌の監督に就任した岡田 武史氏の誘いを受けてアシスタントコーチに就任。岡田氏の退任後は札幌U-18のコーチ・監督を務めて多くのJリーガーを育て、西 大伍、松原 修平、荒野 拓馬、深井 一希、菅 大輝らはいまも札幌でプレーする。2015年途中にトップチーム監督となり、2016年にJ2を優勝して昇格させ、2017年はJ1で11位と健闘。翌年、札幌がペトロヴィッチ監督を招聘したためヘッドコーチとしてチームを支えていたが、昨季ついに札幌の地を離れて横浜FCの監督となり、J1昇格のミッションを達成した。
「楽しみだなという気持ちは、ここに来たときからずっとある」。自身が同じ舞台に昇格させたチームを率いて、23年間過ごした古巣と戦うことに、並々ならぬ感慨があることは想像に難くない。ただ、未勝利で最下位という状況に「いまはそんなことを言っていられる状況じゃない」ことは確かで、「いざ直前に迫ると、いつもと同じ1つの対戦相手としてしっかり分析して、自分たちがどうすれば勝つ確率が一番高いのかと……まあ同じサイクルですよ」と高ぶることなく準備を進めてきた。
指揮官が大半の相手選手の特徴をよく知っているだけでなく、昨季序盤の横浜FCのサッカーはペトロヴィッチ監督のスタイルに倣ったものだっただけに、選手もその長所と弱点を知っていることがアドバンテージだ。「マンツーマンで守備をしてくるから僕のところで1対1になる。その駆け引きを制することができれば、一発でチャンスになる場面が増えると思う」と小川 航基は得点のイメージを膨らませる。守備ではサイドチェンジから一気にスピードに乗って仕掛けてくる攻撃に対し、「早くポジションを取って寄せていく」(ユーリ ララ)ことで食い止めたい。
一方、札幌としては四方田監督が去ってから約1年半の進化を見せる試合となる。横浜FCが警戒している長所をさらに成長させ、把握している弱点を克服できているか。開幕から2勝4分3敗と調子が上がっていないが、ゴールデンウィークの連戦を迎えるこのタイミングで小林 祐希と小柏 剛が全体練習に復帰したことは心強い。特に今季加入した小林は攻撃で違いを作る存在として、明治安田J1第6節で負傷離脱するまでに2得点を挙げている。また、同じく今季加入した浅野 雄也も3得点と好調。彼ら四方田監督にとって未知の選手たちの活躍がカギを握りそうだ。
[ 文:芥川 和久 ]
