着実に疲労は積み上がっているものの、充実した状態でもある。直近の明治安田J1第11節・広島戦は白熱した好ゲームを制して逆転勝ち。マチェイ スコルジャ監督も「満足感を感じています。結果を残しただけでなく、戦術的なタスクをしっかりと実行できたことをうれしく思っています」とチームを評価した。
これで今季四度目の逆転勝利となった浦和は、勝負強さを身につけつつある。ただ、それは先に失点を喫しているということでもある。まだまだ試合巧者と言えるまでのチーム力は備わっていないのかもしれないが、アレクサンダー ショルツは否定的な見方をすべきではないと考えている。
「(広島戦の)最後の30分は本当に良かったと思いますし、今季のベストプレーだったと思います。先に失点したという批判はあるかもしれませんが、私たちはvery,very,very strong teamと対峙して勝利しました。そしてこの勝利が必要でした」 矢継ぎ早にアクションを繰り出す広島の攻撃を受けてカバーリングに奔走しながら、この試合でも最終ラインの守護神として立ちはだかった。しかし、攻撃のミスが起因となり先制を許してしまう。広島の切り替えの早さに上回られてしまった。
「得点数や失点数などのデータを見ても、クオリティーの近いチーム同士の対戦でしたので、本当に重要な試合でした。広島は本能的にプレーしているのではなく、相手が何をしているのか把握している。広島がすべてにおいて良いチームだったので大変でしたし、失点を防ぐことはできませんでした」(アレクサンダー ショルツ)。
マチェイ スコルジャ監督も「広島の大きな武器」と語ったトランジション(攻守の切り替え)で機先を制された浦和。しかし、ここからの反撃は見事だった。
「私たちの2つのゴールは本当に良かったと思います。練習していた良い形から生まれました。そして、われわれは、このラスト30分間のパワーを鹿島戦につぎ込まなければいけません」(アレクサンダー ショルツ)。
終盤は広島から主導権を奪い返し、ゴール前にクギづけにしてスコアをひっくり返した。この勢いをもって鹿島戦に臨む。
一方の鹿島もここ2試合は引き分けが続いたとはいえ、シーズン序盤から比べると大幅に上向いた状態だ。第9節以降は5連勝を含む7試合負けなし。前節・鳥栖戦は勝利を逃し、岩政 大樹監督は「勝点3を取りたかったし、そのチャンスもあったので、複雑なところ」とコメントしたが、二度のビハインドを追いついて勝点1を確保した。今節は好調のチーム同士の対戦となる。
そして何より、“赤”のプライドを懸けた戦いだ。浦和はこの試合の告知にあたって、赤色の背景に両クラブのエンブレムと日付だけを記載した大胆な画像を使用した。この手法がとれる対戦カードはほかにはないだろう。両クラブの順位や状況に関係なく、絶対に負けられない戦いになる。
[ 文:沖永 雄一郎 ]
