その7月の初戦、特に高温多湿で知られる豊田スタジアムでは、3位・名古屋対10位・川崎Fというカードが組まれている。両チームの現状を勘案すると、ピッチ上でも熱く激しい戦いになりそうだ。
ホームの名古屋は前節、連勝が『4』で止まった。これまでは先制されても粘り強く戦い、同点もしくは逆転まで持ち込むことも多かったが、前節はFC東京守備陣の厚い壁を破れなかった。
失点の遠因となったのは、ビルドアップのミス。CBのはね返す能力が高い相手のストロングポイントを避けようと、ボールをつなぐことを意識していたことが裏目に出て、最後は質の高い外国籍FWにシュートを決め切られた。
ただ、それはチームが成長する上で必要な意識だったと、キャプテンの稲垣 祥は語る。
「(後ろからつないでいくことにトライしたのは)優勝するため。優勝を狙うとなったときに、そこにしっかりチャレンジして、そこを積み上げていくことがマストだと思う」 その中で、今節対戦するのは、リーグの中でトップクラスにつなぎがうまい川崎Fである。“止める・蹴る・外す・運ぶ”の基本的な技術を徹底的に鍛えた風間 八宏前監督の指導が源流となっているチームは、過去6年間で四度のJ1優勝を誇っている。
今季は序盤戦でつまずき順位を落としているが、その“パス巧者”を相手に名古屋がどれだけボールをつないで攻めることができるのか。もちろんパス一辺倒にはならないだろうが、今後の戦いに光が差すような攻撃の形を出したい。
カギを握るのは先制点。今季の名古屋は逆転できる攻撃力も持ち合わせているが、ボール保持が得意の川崎Fに先制を許すと、当然のように難しい戦いになる。チャンス自体それほど多く作れないことが予想されるが、絶対に訪れるであろうファーストチャンスで決め切ることができるか。先制点を奪い、前に出てきた相手に対してショートカウンターから追加点を奪うことが理想的な展開だ。
そして名古屋は、次節には首位・横浜FMとの対戦が控えている。本来ならば連勝を伸ばして首位決戦といきたいところだったが、そんな捕らぬ狸の皮算用に落とし穴があった。やはりこれまでどおり一戦必勝、目の前の試合を全力で戦っていきたい。
アウェイに乗り込む川崎Fは前節、浦和と対戦して1-1の引き分け。それまで公式戦4試合で9得点と攻撃陣が復調していたが、浦和の堅い守備を前にして1得点のみ。しかも相手GKのミスによるオウンゴールだった。
ただ、タイトル奪還をあきらめないチームにとって“負けなかった”という事実は大きい。この勝点1を貴重なものにできるかどうかは今後の戦い次第であり、まずは今節、3位の名古屋から勝点3を奪って上位陣に迫っていきたいところ。中盤でチームをコントロールする大島 僚太やジョアン シミッチのパフォーマンスに注目したい。
[ 文:斎藤 孝一 ]
