神戸は吉田監督の下、『競争と共存』のテーマを大切に、シーズンを戦ってきた。大迫 勇也、武藤 嘉紀、山口 蛍、酒井 高徳ら主力選手をけん引役に全選手が切磋琢磨し合い、個々やチームとしての成長を企図しながら、練習と試合のサイクルに没頭。吉田監督は「選手の競争意識は出ているし、出たときに『やってやろう』という気持ちでやってくれている。そこは良い方向に行っているのかなと思う」と選手の奮闘に目を細める。
その「やってやろう」という気持ちは、直近のピッチで色濃く反映されている。明治安田J1第26節・京都戦では今季初先発の川﨑 修平が先制ゴールを決め、前々節・C大阪戦では同じく今季初先発だった扇原 貴宏や、12試合ぶりに先発した井出 遥也がチームの連動性の中で確かな存在感を見せた。そして、横浜FM戦で右ウイングに抜擢された飯野 七聖は「『この大一番で僕を信頼してくれている。期待に応えないと』という気持ちだった」と心境を口に。井出も指揮官の用兵術をこう見つめた。
「どの選手にもチャンスがあるチームです。(メンバーや先発から)外れている選手を大一番で使うことは練習を見ていても難しいなと思うけど、(練習の姿勢を)見てくれている。それに応えたい思いは出たらみんなにあると思うし、必死でもがいてチャンスをつかみたいなと思う」 今節は全試合に先発出場してきた左SBの初瀬 亮が累積警告のため出場停止。重要戦力の不在は大きな痛手だが、“全神戸の力”を結集して乗り越えたいところだ。
一方、神戸との勝点差が『11』の鹿島。前々節は横浜FMに敗れ、前節・福岡戦はスコアレスドローに終わるなど、やや停滞気味となっている。
ただ、序盤戦の低迷から様相を一変させてきたのは確かなこと。第8節・神戸戦で1-5という大敗を喫し、4連敗で15位に転落したものの、続く第9節・新潟戦から5連勝。その間いずれも無失点という離れ業で、不振から抜け出した。神戸の吉田監督が「前回は5-1でウチが勝ったけど、そのときの鹿島とはまったく別」と警戒心を強めたように、鹿島らしい勝負強さを発揮しながらシーズンを戦っており、今節は積み上げてきたものをぶつける一戦になりそうだ。
両者は互いにサイドへの展開が形として確立されている。神戸の飯野は「1対1で負けない、クロスを上げさせないのは大事なポイント。逆に押し込んで仕事をさせないのも1つの手。試合の状況を見ながらうまく進めていければ」とマッチアップをイメージする。さらに、ハイプレスを重視する両チームだが、ともに前線に強力なターゲットがいる中、長いボールで“ひっくり返す”ことも想定される。試合の入りから強気の姿勢を持つ一方、ピッチレベルの柔軟な対応力も問われる対戦となりそうだ。
[ 文:小野 慶太 ]


