シーズン前半戦に京都と対戦した際は、「セカンドボールの処理の仕方や、アバウトさが目立った」(山口 智監督)ことで相手のロングボールに苦戦。弱点を突かれる格好で、0-2の敗戦を喫していた。しかし、前節はディフェンスラインを高く設定し、「なるべく自陣から遠いところでプレーさせれば、セカンドボールが相手に渡っても(周りの味方が)守備に戻ってこられる時間も距離もある」とキム ミンテが語っていたように、相手にほとんどチャンスを作らせなかった。もっとも、空中戦で負けていた印象もあまりなく、これまでは高さと強さを兼ね備えた大岩 一貴が競っていたが、夏にキム ミンテが期限付き移籍で加入し、最終ラインに力強さが加わったことも勝因として挙げられる。
勝利した直近の2試合はそのキム ミンテ、大岩に加えて、ベテランの大野 和成が3バックを務め、高さ、強さ、賢明さの三拍子がそろってチームに安定感がもたらされた。今節はリーグトップスコアラーの大迫 勇也らタレント揃いの神戸相手にどんな守りを披露するか。そこでの攻防戦は注目ポイントの1つだ。
また、攻撃面でも湘南は向上が見られている。後方のキム ミンテやアンカーを務める茨田 陽生、もしくは田中 聡のところから、FW、2列目の選手へ気持ちの良い縦パスが入って一気に前進していくこともあれば、ボールを細かくつなぎながらゴールへ前進していくこともあった。前節で先制点につながるPKを獲得した場面や、オフサイドの判定で取り消されたが、88分に大橋 祐紀がゴールネットを揺らしたシーンは湘南らしさが詰まっていた。
今節もそうした戦いをするには、最終ラインの高さが重要になる。相手をなるべくゴールから遠い場所でプレーさせ、自分たちはコンパクトな距離感でビルドアップやショートカウンターを狙えるという利点を考えて、勇気を持ったラインコントロールが3バックには求められる。
一方の神戸は前節、聖地・国立競技場でのホームゲームで鹿島に3-1で勝利。佐々木 大樹が2ゴール、井出 遥也が1ゴールを挙げ、「サコ(大迫)1人の起点ではなくて、ヨッチ(武藤 嘉紀)も大樹もいる中で、いろいろなところで起点ができるので、相手にとってはイヤだったのかなと思う」と吉田 孝行監督は試合後の会見で語っていた。
一筋縄では崩せないであろう湘南の牙城だが、脅威になれる選手が神戸には何人もいる。悲願のリーグ優勝を達成するため、強さを示しながらゴールを目指す。
ただ立場は違えど、勝利が必要なのは湘南も同じ。降格圏に沈む横浜FCとの勝点差は『1』。前節はともに勝利し、突き放せなかったが、上との勝点差も縮まってきている。今節で勝てば順位を1つ上げられる可能性もある。何より、首位の神戸から白星を挙げれば、残りの試合に向けて勢いも増すだろう。勝利を渇望する者同士の攻防は、激戦の予感が漂う。
[ 文:舞野 隼大 ]
