川崎Fは前節、柏と対戦。7試合ぶりに出場したGKチョン ソンリョンの活躍もあり、複数失点を避けるとともに連敗を止めることには成功したものの、先制しながらも勝ち切ることができなかった。
シーズン序盤と比べれば、川崎Fらしくボールを保持しながら前進して試合を優位に進める時間、そしてチャンスと見るやゴール前に人数をかけて連動しながら相手を崩し切るゴールは増えている。しかし、その時間帯や回数が思うように伸びていないのも現状だ。
今節も当然、いかに主導権を握る時間を増やすかがテーマになるが、その手法の1つが相手の背後を狙うこと。
一般・メディアに公開された5月29日の練習では、フルコートで守備側がボールを奪ってから10秒以内に攻め切るというトレーニングを行っていた。一見、素早く攻めてくる名古屋対策と思われたが、奪ってから素早く攻めていたのはレギュラー組と見られるチームだった。
鬼木 達監督はその意図を「両方」としながらも、週明けの練習は基本的に相手の対策よりも自分たちのことをテーマにしているとのこと。「自分たちも奪ったあと、いかに早く攻めるか」とその狙いを明かした。
キャプテンの脇坂 泰斗も相手の背後を狙うことについて、「つなぐ、ボールを動かしたいというのもあるけど、背後に動き出した選手に出せないと相手は怖くないし、それがあって間のスペースが空いてくるもの」と説明。相手に背後を意識させることで自分たちのパス回しも生きる。その両方を見せ、適切な攻撃を選択しながら主導権を握りたい。
また、背後を狙うことは仮に攻撃が自分たちの意図どおりに終わらなかったとしても、ボールを自分たちのゴールから遠ざけるということにもなる。名古屋戦で最も怖いのは、中途半端なパス回しなどでボールを奪われてカウンターを受けること。背後を狙い、押し込んだ状態で試合を進められれば、ゴールに近づく上に相手のカウンターの威力を減らすこともできる。
一方、名古屋はそのようなカウンターをいかに自分たちの形で発動させるかが1つのテーマになるだろう。
ここまでの16試合で記録した1試合平均ボール保持率は川崎Fの56.1%対し、名古屋は46.1%。ボールを持たれることは想定内というよりもむしろ、ボールを持たせて意図的に誘導しながら追い込み、奪ってカウンターを仕掛ける。それがボール保持率とは関係ない名古屋にとっての主導権の握り方と言えるだろう。
中山 克広、永井 謙佑、キャスパー ユンカーといったスピードのある攻撃陣を中心にスペース、相手の背後を突きながら鮮やかに攻め、ゴールを奪いたい。また、今季はケガに苦しんでいる山岸 祐也がJリーグYBCルヴァンカップ1stラウンド3回戦・横浜FC戦で復帰。前節・京都戦でも出場したが、2試合とも途中からピッチに立っている。今節でスタメンとして出場できるかは不明だが、仮にベンチスタートだとしても前線で何でもできるストライカーの存在は名古屋にとっては頼もしく、川崎Fにとっては脅威だ。
2013シーズン以降、川崎Fはホームで行われた名古屋とのリーグ戦で8勝1分1敗と大きく勝ち越している。ただ、昨季は名古屋が勝利しており、どういう結果になっても不思議ではない。リーグ戦中断前、最後の一戦。緊張感がありながらも、両チームの意地と力が激しくぶつかり合う試合になりそうだ。
[ 文:菊地 正典 ]


