昨季のJ1王者がいよいよ今季ラストゲームを本拠地・ノエビアスタジアム神戸で迎える。2位・広島に勝点1差、3位・町田と勝点3差の首位に立ち、勝てば文句なしで優勝を飾る。G大阪と対戦する広島、鹿島と対戦する町田の結果次第では引き分け以下でも優勝が決まるが(※神戸が引き分けの場合、広島が引き分け以下で優勝が決定。神戸が敗れた場合、広島が敗戦、かつ町田が引き分け以下で優勝が決定)、絶えず“目の前の試合”にフォーカスし、収穫と反省を積み重ねながら進んできた。この最終節も、不変の一戦必勝で挑むことになる。
前節のドローもチームにとっては追い風だ。アウェイで柏と対戦し、開始わずか5分で失点を喫するイヤな流れ。ペースも相手に明け渡す展開となり、もし敗れれば首位陥落の可能性――そんな負の感情も影を落とすような状況下だったが、最もあきらめなかったのはほかならぬピッチ上の選手たち。怒とうの連続攻撃を仕掛け、生まれた武藤 嘉紀による起死回生の同点ゴール。他会場で町田、広島も勝利した中で、最終節を前に首位を堅持することができた。強い思いが生んだ貴重な一撃だった。
そのあきらめない姿勢は、吉田 孝行監督の下、チーム全体で育んできたものだ。戦術的狙いの体現、個のパフォーマンスの最大化。その遂行に徹底して挑む中、対相手で成立するのがサッカーであり、苦しい展開も多々あるもの。それでも粘り強く、最後は絶対にやらせない。そして耐える先に待つ、得点という歓喜。それらを常に求め続けたから、神戸はいま、リーグ連覇に王手をかけている。恐れるものは何もない。神戸は勝利だけを求めて今節のピッチに立つ。
ただ、そんな神戸に立ちはだかるのは湘南。順位こそ下位に低迷し、残留争いを繰り広げる難しいシーズンを送ってきたが、ここへきてインパクトのある成果を残している。9月28日の明治安田J1第32節・鹿島戦を皮切りに、東京V、広島、FC東京を相手に4連勝を達成。前々節・札幌戦で引き分け、前節は横浜FMに6試合ぶりの黒星をつけられたが、その戦いぶりは圧巻そのもの。山口 智監督の下で整備された[3-5-2]を基本とした戦いは、洗練の時を迎えているかのようだ。
武藤(12得点)、大迫 勇也(11得点)、宮代 大聖(10得点)の3人が2ケタ得点を挙げている神戸と同じく、湘南もルキアンが11得点、福田 翔生が10得点、鈴木 章斗も10得点と3人が2ケタ得点を達成している。守備のハードワークを原則にバリエーションのある攻撃や守備のハメ方を体現しており、一度ペースを握ると容易には譲らない迫力やオーガナイズの強みを備える。この最終節でも万全の準備の下、積み上げた力を誇示することになるだろう。
戦術的なかみ合わせ、個のパフォーマンスなど、フォーカスポイントは多種多彩。ただ、シーズンのラストゲーム最大のポイントは気持ちのぶつかり合いだ。対面の相手に負けない魂の激突、ゴールを奪い、守る、全力プレーの真っ向勝負。神戸が優勝を飾るか、湘南がそれを阻止するか。順位などでは測れない、刮目すべき運命の90分となる。
[ 文:小野 慶太 ]
