ホームの清水はJ1復帰初年度ながら、ここまでは上々のスタートだ。開幕戦では、近年苦手としていた国立競技場にて東京Vを1-0で撃破。ホーム開幕戦となった前節は、カピシャーバと松崎 快のゴールにより、前半途中に退場者を出していた新潟を2-0で破った。
対するアウェイの広島は、この試合が公式戦8連戦の6戦目。神戸と対戦したFUJIFILM SUPER CUPを皮切りに、シーズン開幕直後とは思えないほどの過密日程を強いられているが、そのすべてを勝利で飾っているのは見事の一言。リーグ戦では開幕戦で町田相手に2-1と逆転勝利を成し遂げ、前節は横浜FMと激闘を繰り広げた中、ジャーメイン 良のPKによる得点で1-0の勝利を収めた。
双方のチームの特筆すべき点は守備面で、清水はJ2での戦いを強いられた昨季から数えて5試合連続のクリーンシートを達成。“守備の要”として最終ラインに君臨する住吉 ジェラニレショーンは「当たり前のことだが、一人ひとりがゴール前で体を張ることを徹底できている」と、凡事徹底が生んだ成果であることを強調している。相手陣での誘導先、自陣でのチャレンジ&カバーの原則が各選手に叩き込まれている様子も感じられ、J1の舞台でもポジティブな進化を続けられているのは大きい。
広島は今季ここまで戦った公式戦5試合のうち、喫した失点数はわずかに『1』。前節は相手陣での守備が冴え渡り、ミヒャエル スキッベ監督は「しっかり前から当たりにいく、高い位置でボールを奪いにいくところがうまくいったがゆえに、自分たちのゴールから相手を遠ざける時間が長かった」と誇らしげに語った。自陣で守る場面でも、攻撃陣に豊富なタレントをそろえる横浜FM相手に自由を与えず、個々人のバトルの強さをあらためて見せつけた。
両チームともに奪ってからのショートカウンターが特徴的なだけに、どれだけ局面のバトルで上回れるか、陣形を崩すことなく戦えるかがカギを握る。清水の秋葉 忠宏監督は「ちょっとでも緩くなると失点するのがJ1」と気を引き締めており、ホームチームはあくまでも“チャレンジャー”として広島に臨む格好だ。攻撃面でも「最後の崩し、クオリティー、ゴールへ向かう迫力は意識させた」(秋葉 忠宏監督)と明かしており、J1屈指の3バックを誇る広島相手に、いまの自分たちが攻守双方の局面でどれほど通用するのかを示す90分間としたい。
広島は横浜FM戦から中2日であるのに対して、清水は新潟戦から中3日。昨季リーグ戦では一度しか敗れなかったIAIスタジアム日本平で連戦に臨めることを考慮すると、条件面では清水にアドバンテージがあるが、広島もそれをはね返すだけの“地力”は持っている。J1上位争いの行方を占う可能性もある一戦で、勝利の女神がほほ笑むのはどちらのクラブとなるだろうか。
[ 文:榊原 拓海 ]

