明るい兆しを見いだしているのは、ホームの東京Vだ。開幕から連敗スタートと厳しい戦いが予想されたが、以降は球際の強さと粘り強い守備を取り戻し、直近5戦は2勝2分1敗と復調。試合を重ねるごとに本来の東京Vらしさを発揮している。前節は好調な柏に対して、良い距離感で圧力を掛けて相手陣で主導権を掌握すると、ここまで公式戦全試合でゴールを挙げていた柏の攻撃陣を封じ込み、リーグ戦では今季二度目となるクリーンシートを記録。ゴールこそ奪えなかったが、上位チームとの対戦でも試合を優位に進め、スコアレスドローで本拠地へ戻ってきた。
一方で苦しんでいるのが、味の素スタジアムに“乗り込む”FC東京だ。開幕3試合で2勝と上々のスタートを切るも、以降は1分3敗と白星を挙げることができていない。前節・川崎F戦では、前線からの圧力を掛ける相手に屈して後半に3失点。0-3での完敗となり、これでリーグ戦では4試合連続でノーゴールとなっている。
昨季、明治安田J1では16年ぶりに開催された“東京ダービー”。東京Vホームで行われた一戦は、東京Vが前半に2点をリードし、相手が退場者を出すなど試合を優位に進めたが、後半にFC東京が2ゴールを奪って2-2の引き分けで決着。FC東京ホームでの試合では、東京Vがチャンスを多く作ったが、最後までネットを揺らすことができずにスコアレスドロー。2試合とも引き分けで終わった。
上位進出をもくろむ東京Vとしては、勝利を手にしたい一戦であることは間違いない。「サポーターはわれわれが勝つことを望んでいると思うし、今年はなんとしても勝ちにいかなきゃいけない」と力強く語ったのは、ジュニア時代から東京Vで育った綱島 悠斗だ。「自分たちはしっかりと(失点)ゼロに抑えて、内容ともに完勝したい」と士気は高い。
FC東京のアカデミー出身で今季磐田から東京Vに加入した平川 怜も「いまはヴェルディの選手だし、そのヴェルディのサポーターのためにプレーしたい」と大一番に向けて意気込む。さらに、過去にFC東京で指揮を執った城福 浩監督も、“東京ダービー”へ懸ける思いは強い。
「J1で戦う“東京ダービー”の価値というのは自分たちで高めなければいけないし、自分たちが一番この価値は分かっていなければいけない。サポーターも盛り上がってくれるでしょうし、もっと言えば、お互いに負けられない状況の試合。とにかく魂の宿った良い試合をお見せしたい」 リーグ戦での対戦成績は6勝6分6敗とまったくの五分であり、白か黒か、ハッキリ決着をつけたいゲームであるに違いない。連戦が続く中で当然疲労もあるだろうが、ダービーには状況や展開を超越する特別な力がある。そのパワーを味方につけて勝利を手にするのは、どちらの東京か。
[ 文:藤井 圭 ]
