前節、先制したあと一度は追いつかれながらも、終盤に相手を突き放した町田は、クラブ史上初めて公式戦で湘南から勝利を挙げた。後半戦の2連勝発進へ向けて、今節の首位撃破に懸けている。一昨季まで鹿島に在籍していた昌子 源が、古巣戦に向けた心構えをこう説く。
「現状はトップの鹿島と勝点13差が開いている中で、勝って勝点差が『10』になるのと、『16』に広がるのでは全然違います。鹿島の強さは在籍していたぶん、僕自身が一番分かっています。気温が上がって暑さがある中でも、この1週間は鹿島以上の練習に取り組まないと勝てないと思っています」 鹿島戦の4日前から準備期間を立ち上げた町田は、黒田 剛監督を中心としたコーチングスタッフが熱を帯びた指導を展開。日々の練習では鹿島を攻略するためのアプローチのブラッシュアップに余念がなかった。
守護神の谷 晃生や中盤の要である前 寛之は「先制点が大事」と口をそろえた。今季の鹿島は先制時の逆転負けはわずかに一度のみ。鹿島を相手に試合をひっくり返すのは至難の業だ。また前回対戦での町田は「試合開始から気後れをしてしまって、前半に失点をしてしまった」(谷 晃生)という苦い経験をしている。今回のリターンマッチで「やり返す」(谷 晃生)ためにも、同じ過ちを繰り返すわけにはいかない。
また前 寛之は「0-0の展開が続いても焦れないことが大切」と言及。スコアを動かせないことに焦燥感を募らせると、スキを見逃さない“鬼木アントラーズ”の思うツボだ。そもそも“黒田式勝利の方程式”は、無失点で時計の針を進め、少ないチャンスを仕留める展開に集約される。チャレンジャーでもある町田としては、「極力長い時間、失点をゼロにすることが一番勝利に近づく」(昌子 源)というマインドで戦い続けることが肝要だ。
一方でアウェイに乗り込む鹿島は、現在町田戦2連勝中だが、Gスタでの対戦となれば少々事情が異なる。町田がJ1に昇格して以降、JリーグYBCルヴァンカップを含めると、Gスタでの鹿島は無得点での2連敗中と相性は芳しくない。それでも現在の鹿島は、リーグで2番目に失点の少ない堅守が武器のチーム。元チームメートの昌子 源が「リーグ屈指のCB」と評する植田 直通や、「円熟味が出てきた」(昌子 源)GK早川 友基を擁する守備陣が奮起し、ロースコアの展開に持ち込むことが町田撃破への“青写真”だろう。
J1得点ランキングでトップを走るレオ セアラや、絶対的エース・鈴木 優磨ら、鹿島の強力アタッカー陣が、古巣戦に燃える昌子 源をどう攻略するか。白熱の個人バトルも必見だ。
[ 文:郡司 聡 ]
