天皇杯は手に汗握る展開だった。鹿島が早々にチャヴリッチのPKで先制したものの、福岡も前半終了間際に前嶋 洋太が鋭い反転からシュートを決めて同点に追いつく。これで福岡に流れが傾くかと思われたが、後半も鹿島が先手を奪う。立ち上がりに樋口 雄太がドリブルで前進したところから荒木 遼太郎につなぎ、そこでプレーが途切れたかと思われたが、素早くサポートした知念 慶がボールを拾った勢いを生かしてそのままシュートを狙うと、福岡の選手に当たったボールが逆サイドのゴールネットを揺らした。その後もペースを握った鹿島だが、なかなか追加点が奪えない。特に途中出場した鈴木 優磨が何度もチャンスを外し続けると、後半アディショナルタイム、ゴール前にボールを持ち出したシャハブ ザヘディが角度のないところから思い切り左足を振り抜く。GK早川 友基の手が届かないニアサイド左上のわずかな隙間にシュートを突き刺し、土壇場で同点に追いつく。鹿島にとってはイヤな流れだったが、延長後半に、シュートを外し続けた鈴木 優磨が右CKを頭でねじ込み、激戦に終止符を打った。
試合後、福岡の金 明輝監督は「もっとわれわれのチームはできると思いますし、積み重ねてきたものがある中、トライさせ切れなかった僕に責任がある」と、選手の力を出し切れなかったことを悔いていた。スコアは僅差であり、延長戦まで勝負を持ち込んだとはいえ、チャンスの数でも鹿島に大きく差をつけられた。その試合を受けて臨んだ9日のリーグ前節・川崎F戦では、相手に2人の退場者が出たとはいえ、5-2で大勝。
「鹿島戦で中途半端なゲームをしてしまったので、われわれがやってきたことをもう1回表現しようということで臨みました。その積極的な姿勢が、相手に難しい対応をしないといけない状況を作って、こういう結果になったことは選手たちを称えたいと思います」 金 明輝監督は川崎F戦後にそう言って、ハードワークを絶やさなかった選手たちをねぎらった。
福岡とすれば二度も同じ轍を踏みたくない。必ず修正してこの試合に臨んでくるはずだ。迎え撃つ鬼木 達監督は「やっぱり受け身に回ってはいけない。ここは大事な部分かと思います」と、相手の攻撃を受けるのではなく、自分たちが上回っていくことを求めていた。首位に立っているからこそ、相手は必ず鹿島を倒そうと強い気持ちで向かってくる。それを上回り続けない限り、首位に立ち続けることはできない。
どちらも勝ちたい気持ちは先の対戦以上に強い。序盤から激しい試合が予想される。
[ 文:田中 滋 ]

