両者の勝点差は『5』であり、追いかける神戸とすれば、ここで敗れることは優勝争いからの明確な後退を意味する。それはチームの誰もが強く胸に刻んでいること。鍬先 祐弥は「勝たないと3連覇の可能性はなくなってしまうくらい本当に大事な試合」と受け止め、強いモチベーションで試合への準備と向き合う。その上で、“やるべきこと”を語気強く口にした。
「何か特別なことをするわけではない。いまのヴィッセルの強みを試合でしっかり発揮するだけかなと思っている」 高強度。神戸が過去2シーズンのJ1を制す上で大前提にあり続けたものだ。球際のバトルにこだわり、セカンドボールの回収を徹底し、前線からのプレスは無論、スライドやプレスバックに妥協せず、全員守備と全員攻撃をシームレスにこなし続ける。その体現こそが勝利を呼び込む原動力。そのスタイルは大一番でも変わることはない。
今季は開幕直後から常に主力のケガに悩まされてきたが、大迫 勇也と武藤 嘉紀という2大看板の欠場が続いても、佐々木 大樹や宮代 大聖らが存在感を発揮。直近では井手口 陽介という中盤の核を欠いているが、鍬先 祐弥がパフォーマンスを最大化させた。文字どおり“全員の力”で幾多の苦難を乗り越えてきた。その積み上げた力を首位相手にぶつけるだけだ。
他方、鹿島も順風満帆なシーズンを送ってきたわけではない。開幕戦を落としたあと、第2節からの6戦で5勝1分。その過程で首位にも浮上し、波に乗ったかに見えたが、その後3連敗を喫して8位まで順位を下げた。それでも、今季から就任した鬼木 達監督が率いるチームは、ハイインテンシティーをベースに組織力を高めて第11節から怒とうの7連勝を達成し、再びの首位をひた走る。後半戦の序盤に今季二度目の3連敗を喫して4位に落ちたが、再び立て直し、現在10戦負けなし。シーズン途中で関川 郁万や安西 幸輝が負傷離脱を強いられたが、神戸と同様に、起用された選手がそれをカバーし、いま優勝に最も近い位置に上り詰めている。
両者の前回対戦は3月29日の第7節までさかのぼり、結果はレオ セアラがゴールを決めて鹿島が1-0の勝利。明暗は分かれたが、互いに持ち味とする高強度バトルがピッチの各所で繰り広げられる、白熱の攻防を見せている。これは両者による“後半戦”のプレリュードとも言えるだろう。リーグ戦の33試合を戦い抜き、神戸の吉田 孝行監督、鹿島の鬼木 達監督が築いてきた組織力、確かな実力を持つ選手個々の士気やパフォーマンスも成熟の時期を迎えた。“前半戦”以上に譲れないバトルが繰り広げられることは確実だ。
史上2クラブ目の3連覇を目指す神戸が、鹿島の再興にストップをかけるのか。リーグ史上唯一3連覇を実現している鹿島が、神戸の夢を自らの手で打ち砕くのか。17日午後7時、『フライデーナイトJリーグ』のノエスタが今季一番の熱気に包まれる。
[ 文:小野 慶太 ]
