清水はこの1週間で、クラブ内に大きな動きがあった。2023シーズン途中より指揮を執り、清水を再びJ1の舞台へ導いた秋葉 忠宏監督が、今季限りで退任することが決まった。12月4日のトレーニング後には「今までで一番と言っていいほどインテンシティーの高いトレーニングができた」と口にしており、清水の指揮官として臨む最後のゲームに向けて気合いは十分だ。
サポーター・ファミリーに愛された“熱血指揮官”は、アイスタで清水を指揮する最後の試合となる。「3連敗して、右肩下がりで終わってはならない。皆さんへの感謝の思いを、これまでやってきたことを、ピッチで表現することが大事。必ずわれわれらしく超攻撃的・超アグレッシブに戦い続けて、結果もしっかりと引き出して、ホームで勝ちロコをして、みんなで笑顔で終わりたい」と意気込んだ。
秋葉 忠宏監督とコーチングスタッフたちの退任だけではない。本稿執筆時点では、昨季加入してから要所で重要な働きを見せ、サッカーIQの高さでチームを支えた矢島 慎也、清水で生まれ育ち今季より伝統の6番を背負った宮本 航汰、育成組織出身で大学を経由して“古巣”に戻ってきた齊藤 聖七との契約満了が発表された。そして、何よりも大きなニュースとなったのは、乾 貴士との別れだろう。
今季ここまで行われたリーグ戦37試合のピッチに立ち、加入4年目も大黒柱として清水を彩ってきた。秋葉 忠宏監督と同様に、アイスタへの思いも強い。「あれだけ良いピッチで、あれだけの雰囲気を作ってもらって、すごく心強くて、サッカーがやりやすかった。大好きになりました」と語るスタジアムで、清水の選手としての最終戦に臨む。
偶然にも、最終節で相対する岡山は、乾 貴士が「特別なクラブ」と語る存在。清水加入前に無所属だった時期の約1カ月間、トップチームの練習に参加し、自らのサッカー人生を再び動かすきっかけを得ていた。
そんな岡山とのゲームを前に、「これも何かの縁だと思っています」と乾 貴士。「岡山からこっちに来るときに、ちゃんと挨拶をできていなかったので、最後にしっかり挨拶もできれば」と口にした。
その岡山は、夏場を越えたころから徐々に勢いが失速し、現在は10戦勝ちなし。クラブ史上初のJ1に臨んだ今季を良い形で終えるため、そして今季限りでクラブを離れる柳 育崇、プロサッカー選手引退を決めた金山 隼樹と笑顔で勝利を分かち合うため、11試合ぶりの白星をつかんでシーズンを終えたい。
それぞれのクラブに、“ラストダンス”となる選手がいる。勝って彼らを送り出したい気持ちは同じだ。
[ 文:榊原 拓海 ]

