町田にとって、川崎Fとの“前回対戦”は昨季のJ1第28節、アウェイで3-5の完敗だった。守護神の谷 晃生や、累積警告による出場停止だった岡村 大八ら、守備陣の主力級が欠場を余儀なくされたとはいえ、5失点は堅守を看板に掲げる“黒田ゼルビア”にとって受け入れ難い結果だった。
完敗の責任を一身に背負ったのが昌子 源。昌子 源とエリソンがマッチアップする状況を意図的に数多く作ってきた相手の戦略の効果は絶大で、町田のチーム主将が川崎Fの9番に翻ろうされた結果、5失点を喫した。
試合後、昌子 源はユニフォームで顔を覆い、失意の涙に暮れたが、今後の奮起を促すサポーターからの声に町田の主将は気持ちを奮い立たせてこう誓っていた。
「『顔を上げてほしい』と言ってくださる皆さんの姿勢に心を打たれた。『あなたたちのためにもやらないといけない』という気持ちになれた」 こうしてはい上がった昌子 源は、天皇杯初制覇に貢献。天皇杯決勝後の場内インタビューで、あの日の励ましの声が自身を奮い立たせる原動力になったことを明かした一幕は、町田サポーターにとって記憶に新しい。
“昌子 源vsエリソン”が再び実現した場合、今度は町田の主将が“エリソン封じ”を成功させて雪辱を果たせるか。必見のマッチアップだ。
対する川崎Fは直近の第8節・横浜FM戦で0-5の大敗を喫している。大敗を糧にしてチームが再びはい上がるためにも、士気高くGスタへ乗り込んでくるに違いない。
ただ、懸念材料は新加入の谷口 栄斗と、佐々木 旭が負傷によって離脱しており、最終ラインの耐久力が心もとない点。出場するCBの奮起に期待したい。もちろん、GKスベンド ブローダーセンのセービング能力も町田の攻撃をシャットアウトするには必要不可欠。絶好調の相馬 勇紀を擁する町田のアタッカー陣を封じるのは至難の業だが、できるだけ無失点の時間帯を長くすることで勝機を見いだせるはずだ。
視点を変えれば、前回対戦のように打ち合いに持ち込む展開も1つの打開策になるかもしれない。特に今季の町田は7試合消化時点で11失点。無失点も1試合しかなく、堅守を看板に掲げてきた黒田 剛監督率いるチームにも十分なスキはある。前述のエリソンを筆頭に、町田市出身の小林 悠らを擁するアタッカー陣の活躍が、守備陣の奮起以上に町田撃破には欠かせない要素かもしれない。
[ 文:郡司 聡 ]
