この試合は何より長崎の指揮官が松田 浩監督であることが大きなトピックスだ。松田監督は2009年から13年途中まで栃木で指揮を執り、11年にFC東京と熾烈なJ1昇格争いをするなど(最終順位は10位)一時代を築いた人物として知られる。栃木の指揮官を退任して以降、栃木の地に他チームの指揮官として立つのは初めてで、Jクラブの監督として指揮するのも、実に8年ぶりのこと。古くから栃木を応援するファン・サポーター、そして松田監督自身にとっても感慨深い一戦になるのではないだろうか。
栃木は前節、アウェイで大宮と対戦して1-1で引き分けた。先制点を許したもののその後は盛り返し、栃木らしいアグレッシブな戦いで試合を進めながら、40分に武器であるリスタートから矢野 貴章の今季4ゴール目で同点。後半も攻勢をかけたが、逆転には至らなかった。
直近4試合は負けなし、3試合連続ドローとなった栃木だが、堅調さが際立つのは守備だ。福岡から三國 ケネディエブスが加入して以降、直近4試合の失点はわずかに『1』。今節、強力なFWを擁する長崎相手にどれだけのパフォーマンスを見せるか、真価が問われる一戦だろう。一方、課題は引き続き得点力となる。武器のリスタートのほか、カウンターの精度を高めたいところだ。
長崎は今季途中に指揮官が交代することになったが、前述の松田監督が指揮を執り始めてからは5勝1分、現在4連勝中と上昇気流を描いている。さらに言えば、5勝のうち4勝が1-0。松田監督が志向する堅守速攻スタイルに見合った結果を導けており、非常に手堅いチームに仕上がっている。
長崎はボランチのカイオ セザールら個々のタレントが豊富だが、何よりも都倉 賢とエジガル ジュニオの2トップが強力。田坂 和昭監督も「切り替えの局面でカウンターを食らわないようにしなければいけない。あとは“一発背後”のボール。何だかんだ2トップが点を取るときは最後に背後を取っている」と警戒感を強めている。
前からアグレッシブに襲いかかる栃木と、それをいなしながら“一発背後”に勝機を見いだすだろう長崎の戦い。緊迫感あふれる攻防になるだろう。
[ 文:鈴木 康浩 ]

