明治安田J3を第5節まで終え、奈良は2勝2分1敗で6位。昨季は試合終盤に失速することが多かったが、今季は先制点を奪われながらも追いつき、逆転できるだけの力がついてきた。フィジカル面の改善も含めたキャンプからの積み上げで得た手ごたえは、中田 一三監督が昨季9月に就任してから幾度か口にしてきた「マインドセットの部分」にも前向きな変化をもたらしている。
昨季夏まで指揮を執っていたフリアン前監督はカップ戦を、リーグ戦に出場できていない選手たちの出場機会とする傾向もあったため、リーグ戦では主軸でありながらもカップ戦では出場機会が少なかったメンバーもいる。堀内 颯人は、前所属のHonda FCで2019年度の天皇杯ベスト8進出に貢献しているが、奈良ではJ1クラブとの試合でまだ一度も出場がない。J1から数えて7部にあたる兵庫県リーグ1部からキャリアをスタートさせた生駒 稀生も、前回大会ではメンバー入りできなかった。「今回こそは」と意気込む。
また、ニューヒーロー賞の受賞対象となる21歳以下の選手では、高卒2年目の國武 勇斗と関沼 海亜、クラブ初のユースからトップ昇格を果たした川井 大地が在籍。前回大会の2回戦で出場した國武 勇斗は、今季勝利を挙げた2試合でいずれも逆転ゴールを決めている。出場機会があれば、リーグ戦同様「チームを勝たせられるゴールにこだわる」と意欲十分だ。
対するFC東京は、J1を第6節まで終え、2勝1分3敗と黒星が先行している状況。とはいえ、複数失点を喫したのは1試合のみで、3ゴールを挙げて勝利した試合もある。いまはまだ、今季より就任した松橋 力蔵監督の下で行う改革の過渡期だと言えるだろう。
Jリーグ屈指と言える、ホームグロウン選手登録数15名を誇るFC東京には、21歳以下の選手も多く在籍。前回大会では得票上位選手11名の中に名を連ね、今季ここまでリーグ戦5試合に先発している俵積田 晃太と土肥 幹太は、今季もニューヒーロー賞の対象となる年齢だ。また、法政大在学中のJFA・Jリーグ特別指定選手・小湊 絆のほか、2種登録の選手も3名在籍。中でも北原 槙がJ1第4節・鹿島戦でJリーグ最年少出場記録を15歳7カ月22日に更新したことは記憶に新しい。デビュー戦での出場はアディショナルタイムを含めて10分ほどだったが、松橋 力蔵監督からも評価が高い北原 槙に今大会で躍動する機会が与えられるかにも注目が集まる。
両チームの指揮官は、現職に就任してから、これが初めてのカップ戦だ。“古都”・奈良が、J3のハングリーさで上位カテゴリーのチームを食らうか。それとも、“花の都”・FC東京が、J1の貫禄でチャレンジャーの勢いをねじ伏せるのか。双方のチームカラーである青と赤に映えるロートFで、14時にキックオフする。
[ 文:前田 カオリ ]


