右SBのポジションには馬渡 和彰、宮本 優太ら実力者が控えているが、精神面での貢献はさすがに及ばない。相手が強いほど、重要な舞台ほどパフォーマンスを発揮する酒井の欠場により、チーム全体のメンタルが大きく問われることになる。
第1戦ではもう1つ、アクシデントが起きた。前半早々の早川 隼平の負傷は第2戦にも影響を及ぼすことになる。現在、浦和の登録選手でU-21規定を満たすのは2名のみ。早川の回復が間に合わなければ、残る堀内 陽太に白羽の矢が立つ。
ユース出身のルーキー・堀内は早川より年上ではあるが、今季の出場はわずか数分のみ。アタッカーの早川と違い守備的な選手であったことが、ここまでの出場時間の差にもなっていた。この大一番、しかも横浜FM相手に経験の乏しい守備者を起用するのは少々リスクに見える。
しかし、チームメートはそう感じていないようだ。アレクサンダー ショルツは「陽太は練習でも常に良いパフォーマンスを見せているので、かなり期待している」と太鼓判を押す。本職はボランチだが、日頃の練習や練習試合ではSB、サイドハーフなども務めている。
いきなりエウベルや宮市 亮と対戦するのは骨が折れるが、酒井の代役として右SBに収まる可能性も考えられる。対人能力は持ち味でもあるため、隣でアレクサンダー ショルツが支える形であれば十分に対応可能だろう。
また「FW役でも良いプレッシャーを掛けられる」(アレクサンダー ショルツ)ことから、第1戦で早川が務めたナンバー10(トップ下)に収まる可能性もある。1点ビハインドの状況でもあるため、“いけるところまで”のプレス要員として起用されるパターンもありそうだ。
逆に、1点ビハインドはそれほど逆境でもない。同点に追いつけていれば“モアベター”ではあったが、最少失点で切り抜けることができた。横浜FMは1点を守りに入るタイプではなく、またそれを得意ともしていないので、どう転んでもある程度の打ち合いになるだろう。ホーム・埼玉スタジアム2002の地の利を生かせれば、逆転は十分に可能だ。
「ホームの“埼スタ”のパワーは思っている以上に力を発揮させてくれる。たとえ痛いところがあっても、痛くないと思えるような力を感じる」とは西川 周作の弁。第2戦のホームで逆転を飾るのは浦和の伝統でもある。
一方で、有利な状況にあるのはもちろん横浜FMだ。第1戦の得点はPKの1点のみだったが、ケヴィン マスカット監督は「何かを成し遂げたわけではない」と前置きながら、「(選手たちが)勇気を出して突破しようとしていたし、ほとんど相手陣地でプレーしたと感じている」と手ごたえを得ている。雌雄を決する一戦を前に、「大アウェイになるでしょうけど、中国でそれ以上のアウェイを経験しました。その経験を生かさないといけない」と角田 涼太朗は語る。雰囲気にのまれるか、のみ込むか、“埼スタ”と横浜FMの勝負でもある。
[ 文:沖永 雄一郎 ]
