鹿児島県指宿市 池田小学校

わたしたちの芝生校庭自慢

1. はじめに 　

   鹿児島県の薩摩半島の南端に位置する「イッシー」で有名な池田湖を校区内に持ち、前方に薩摩富士と呼ばれる開聞岳を望む、風光明媚で自然豊かな農村地帯にある。それが我が池田小学校である。

2. 芝生化の経緯と経過 　

   昭和４７年には「県学校環境緑化推進校」としての指定を受けている。この指定を機会に、校庭を芝生化にしている。 　芝生化は、開聞山麓のゴルフ場から購入したチフトン芝を、耕転機で耕した校庭にPTA会員や地域の方々約200人を動員し、1本１本ほぐしながら数センチ幅で植え込むという、なんとも今季のいる仕事であったという。その後、昭和51年・63年の2回、芝の植え替えを行っている。
   現在、トラックの部分は土で、芝は野芝である。

3. 川淵キャプテンとの出会い 　

   平成12年2月、偶然に本校の前を通った川淵三郎Jリーグチェアマン（当時）の目に全面芝生の校庭が飛び込んだ。
   　「運動場を芝生に」は氏が初めてヨーロッパへ行かれた以来の夢であるとのことで、日本にも芝生の学校があったと感激されたそうだ。
   その後、池田小は私の第２のふるさとと、これまで4回ほど来校いただき、児童へのサッカー教室、保護者や地域住民への講演会など、交流を深めていただいているところである。

4. 芝生の効用・活用 　

   芝生は転んでも痛くもなければ怪我しないので健康面での効果はいうまでもないが、心の安らぎ・リラックス作業など精神面での効用が一番である。本校の児童は、友達思いでやさしく、切れる子なんていないのが自慢だ。
   　休みの日に自転車で走り回る子がいる。ソフトボール少年団が週3日活動している。校区と合同でやる運動会では、石灰でラインは引くし、児童も大人も綱引きももする。
   　さすがに、ソフトボールのバッターボックスの周りやピッチャープレート付近は芝がはげているし、綱引きの後は、芝がはがれて悲惨な状態である。しかし、ソフトボールの練習の後は部員が必ず土入れをするし、トンボかけをやる。綱引きの後も、1ヶ月もすると自力で元に戻っている。
   　校区民の花見やゲートボール・グラウンドゴルフ大会等も電話１本で可能である。地域の方々は、学校教育に深く関わり協力をいただいているので、芝生にしても、どうすればよいかをわきまえている。制限などする必要はないのである。

5. 芝生の維持管理 　

   管理は、PTAと学校が協力して行っている。大変なのは刈り込みである。以前は、校区内の芝生業者に芝刈機を無償で借り受け、PTA10名程度の施設緑化部が中心に刈っていたが、3年前に、リース業者と芝刈機のリース契約を結んだ。ガソリン代は自前で使いたいときに使える。乗用タイプでしかも集草器付きなので便利で手間が省ける。それでも校庭全部刈るのに1回3時間ほどかかる。芝刈機が特殊機械で誰でも使えないため、現PTA会長が一手に引き受けている。今年は18回刈っている。夏場が中心なので10日に1回の割合だ。まったくのボランティアで、非常に満足している。
   　施設緑化部は、春・秋年２回の施肥や数年に1回のエアレーションなど、芝全体の管理や、樹木の剪定や枝落としなど、学校全体の環境緑化活動に取り組んでいる。除草剤や薬品類は児童の健康・安全のため一切使用していない。
   　児童は、作業時間にトラック部分の草取りや樹木の落ち葉集め、花園の草取り等関わっている。学校職員は、樹木間とか遊具や体育施設の周り・土手など、乗用の草刈機の入らない部分を手押しの芝刈機やビーバーでの刈り込みなどを行っている。
   　芝にかかる予算は、学校予算の中から燃料費1万円程度、PTA予算の中から燃料費・肥料代、芝刈機のリース料あわせて7万円程度である。その中の４万円は、PTAを卒業した方々にOB会を組織していただき、そちらの会費から拠出してもらっている。

6. おわりに 　

   芝生は、空気や水と一緒なのだから、大事にはするが、しすぎることもしない。児童は、視察に訪れた方に「校庭が芝生でいいことは何ですか？」と聞かれてきょとんとしている。教員も子どもも、地域の方々も校庭に芝生があって当たり前の生活をしている。これまでもそうであったように、これから先もそうあってほしいと願っている。
   　ちなにみ、本校のキャッチフレーズは、「花と緑と笑顔あふれる池田小学校」である。

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