Jリーグ百年構想
1.文化
わが国には、野球場や陸上競技場はあるが、サッカー場は「専用」を付けないと、一人前になれなかった。
英国やスペインでは、伝統的に「サッカースタジアム」。陸上競技場を使用してきた欧州のサッカー強豪国も、FIFAワールドカップやEURO(欧州選手権)の開催を機にサッカースタジアムへ一変した。
ドイツの強豪クラブであるバイエルン・ミュンヘンも、「ピッチに近く!」という約20 万のファンクラブ会員の声に、陸上競技のトラックがあるオリンピックスタジアムに別れを告げた。
スポーツが文化と認められる舞台は、競技の専門性と感動を最大限に引き出す「劇場」スタイルでなければならない。だから、サッカースタジアムは大前提となる。
陸上競技のトラックがあると、Jリーグのスタジアムのゴール裏で最長45メートルもピッチから離れ、試合が見づらく、選手もプレーしにくい。サッカースタジアムはどの角度からも選手と観客の距離が近く、一体感が生まれる。芝生の緑、カラーコントラストの効いた両チームのユニフォーム、プレーに反応して波打つ観客、すべての臨場感が一つの画面から伝わってくる。
スコットランドリーグでは毎シーズン、「最も雰囲気の良いスタジアム」が表彰される。2010 年に訪問したエジンバラのタインキャッスルスタジアムは、2 年連続で受賞した。その理由は、スタンドとピッチの距離の近さだった。
2010 年6月に開催された第11回全国ホームタウンサミットin甲府の参加者約300人によって、「最もお気に入りのJリーグホームスタジアム」に選ばれたベスト5は、すべてサッカースタジアムだった。
かつてのドレスデンのスタジアム。陸上競技のトラックがあり、屋根はなかった
現在のドレスデンの新スタジアム
現在の欧州では箱型の「サッカースタジアム」が主流(英国のウェストブロムウィッチ)
ゴール裏の席はネットに手が届きそうな近さ(英国のエジンバラ)
スタンドの傾斜角がピッチを近づける。最大で40度のところも(エジンバラ)
最前列の席はピッチと同じ目線に(スイスのバーゼル)
下からの選手入場口(ドイツのデュイスブルク)





































