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【東アジア女子サッカー大会2005】野田朱美・高倉麻子・大竹奈美・日々野真理が語る日本女子代表の魅力: OFFSIDE TALK:Vol.2(Part.1)(05.07.20)




東アジア大会ではアジア初の王者をつかんでほしい!
野田朱美・高倉麻子・大竹奈美による「第2回Offside Talk」


 日本中を熱狂と興奮の渦に巻き込んだアテネ五輪から早いもので1年が経過しようとしている。日本はグループリーグ初戦で強豪・スウェーデンに1−0で勝利。続く第2戦のナイジェリア戦は0−2で落としたものの、念願だった決勝トーナメント進出を果たした。そして準々決勝・アメリカ戦では山本絵美(TASAKI)のゴールで一矢報いたが、1−2で惜敗。ベスト4進出はならなかった。それでも優勝国・アメリカにあと一歩と迫るなど、女子サッカーの大健闘はメディアに大きく報道され「なでしこジャパン」という愛称は1つの流行語にもなった。その後、女子代表は上田栄治監督から大橋浩司監督に指揮官が交代。若手も台頭しつつある。大橋監督は外国チームとの親善試合を重ねながらチーム力アップに努め、8月1日から韓国で行われる東アジア大会に挑もうとしている。日本女子代表は過去にアジアを制したことがない。しかし今回は、かつて世界王者を争った中国が世代交代の波にさらされるなど、日本にもつけ入るスキは十分にある。野田朱美、高倉麻子、大竹奈美という96年アトランタ五輪を戦った偉大なるOGたちも「今回は初タイトルのチャンス」と言い切る。7月初旬、そんな彼女たちに都内の韓国焼肉店に集合してもらい、サッカーレポーター・日々野真理の司会で、最近の女子サッカー談議に花を咲かせてもらった。敵を食いながらのトークは大いに盛り上がり、予定の2時間を大幅に超えてしまった。そんな熱い「第2回Offside Talk」の様子を全3回にわたってお届けしよう。(構成/元川悦子)


Part.1:「アテネ五輪以降の成長株は宇津木と永里!」


日々野 日本中を沸かせたアテネ五輪から約1年が過ぎましたが、大会を総括するところから話を始めましょうか?
高倉 アテネのアメリカ戦はオフサイド崩れで負けたけど、あれだけやれたのは大したもの。立派じゃないかと思いますね。レベルの差は確かにあったけど、オフサイドトラップの問題1つで優勝国にあと一歩と迫ったのだから、前向きに評価したいですよね。
野田 やっぱり1戦目に勝ったのが大きかったよね。スウェーデンが本調子じゃなかったにしても、相手を叩いたという事実が大きかった。勝つべきところで勝ったのが収穫でしょう。
高倉 女子サッカーは五輪本大会が始まる前に先陣を切ってスタートしたでしょう。その結果、女子スポーツが頑張っているんだという印象を植えつけたのがよかったんですよ。
大竹 スウェーデンは2003年ワールドカップに比べるとかなりコンディションが悪かったですね。でも日本は組織がしっかりしているチームだし、個人能力で向かってくるチームにとってはきつかったはず。組織として戦えたことが大きかったですね。
日々野 なるほど。確かにアテネ五輪のインパクトは大きかったですね。その後の女子サッカー界にも大きな影響を及ぼしたように思うのですが。
高倉 確かに話題にはなりましたね。
大竹 あそこでスウェーデンに勝たなかったらここまで話題にはならなかったかも。勝利という結果が大きかったですよね。
高倉 国際大会でちゃんと勝てるチームということを実証したわけですし。
大竹 ゴールを決めたガン(荒川恵理子=日テレ)の貢献度は大きいですね。すごい素質を持ったストライカーですよ。
野田 五輪最終予選の北朝鮮戦からアテネ五輪にかけてのパフォーマンスはホント、すごかった。
大竹 ガンのよさは体の強さとスピード。相手に押さえつけられても勝てるくらい。男なみに強い。サッカー選手は頭を使って人を動かすをプレーも必要。澤(穂希=日テレ)みたいなクレバーさをガンが身につければ、世界で通用するFWになれる。そのくらいの才能がある選手だと思いますね。
日々野 なるほど。では、続いてアテネ五輪以降に指揮官となった大橋浩司監督について、少し話をしたいと思います。新監督は前任の上田栄治監督と比べてどうでしょう?
高倉 チームが変わりましたよね。上田さんは組織的なサッカーを好む指導者だったけど、大橋さんは個人で打開できる選手を好む傾向が強い。だからこそ、ベレーザの選手が増えたんじゃないかな。
大竹 大橋さんは確かにトリッキーなプレーができて、アイディアを持っている子が好きなように思います。受け手も出し手もどのくらいオプションを持っているかを重視しているような気がする。そんな個性と組織力を組み合わせようとしているのではないでしょうか?

野田 どっちがいい悪いじゃないですよね。上田さんは組織的サッカーで成功したから。でもそれで見えた限界もある。あれ以上、組織力を前面に押し出しても勝てない可能性はありますよね。大橋さんは育成畑で長い間、仕事をしてきた人だけに、若い力を育てつつ個の力を採り入れようと思っているんじゃないかな。こないだ(5月21日)のニュージーランド戦でも若手を登用して競わせた方がいいという考え方が見えましたしね。

日々野 そういう意味では、アテネ五輪に出ていない若手に注目が集まりますが、お勧めの選手はいますか?
野田 宇津木(瑠美=日テレ)だね。16歳の左サイドだけど、背が大きいし(167cm)、フィジカルも強い。大きな切り返しがいいですね。
高倉 さすがは代表チームで使われているだけありますよね。
大竹 まだ若いのに物怖じしないし、リーダーシップもある選手ですよ。それと永里(優季=日テレ)。人見知りはするけど、いい選手です。私が現役だった時、日テレ・メニーナ(ベレーザの下部組織)と一緒にリハビリをしたことがあって、その中に中1の彼女がいたんです。物凄いチャレンジ精神を持ってて、他の選手とはちょっと違いましたね。もうすでに2回も前十字じん帯を切っているとは思えないほど筋力は強いし、ボディバランスも良いのでとても驚いてます。
高倉 永里はアテネ五輪最終予選でもメンバー入りしたけど、あの時はまだ「先物買い」みたいな感じでしたよね。代表監督っていうのは好き嫌いがあって当然だけど、上田さんはあえて若い選手を2人くらい抜擢しましたから。本大会では外れたけど、その後、着実に力をつけてきましたよね。若い子ってのは急に伸びるんです。海外の大会に出て自信をつけたりするから。大橋さんが監督になった後、使われて、本人も何かをつかんだんじゃないですか。外国との親善試合を経験しながら、澤や酒井(興恵=日テレ)という先輩たちに支えられながら点も取ったりしてますから。確かにいいものを持っているストライカーだと思う。でも本当のエースになるのはこれからでしょうね。
大竹 チーム(日テレ)での自信が大きいんじゃないかな。なでしこジャパン経験者が11人もいるベレーザで結果を出しているわけだから。ガンがケガがちなことでチャンスをつかんでいる部分も大きいけど、やっぱり選手はゴールを重ねることで自信をつけていきますから。大橋さんは調子のいい選手を選んで使おうとしてますよね。若い子はメンタル面によって大きく左右されるけれども、使ってもらえることは確実に自信につながります。自分自身、納得してプレーできれば、もっと成長できると思います。いずれは日本の女子サッカーを担う選手でしょうね、永里は。ボディバランスもいいし、FW特有の冷静さも持っている。「これが高校生か」と驚かされますよ。
野田 試合後のコメントにしても「ゴールが入りましたけど、結構簡単でした」とか言っちゃったりして(笑)。そういう度胸がストライカーなんでしょうね。自分もそうだったけど、FWはいろいろ言われて当然のポジション。そういう大きく構えた部分がないとダメですね。守備や中盤の選手っていうのはどんな時もコンスタントにプレーできなければいけないけど、FWは1試合を通じてほとんど仕事ができなくても1点取ったら「まあいいか」となる。あれだけ堂々としている永里はいいですね。体の大きさを生かせるようになればもっといい。足元は上手なんだから、ヘディングに磨きをかけてもらいたいな。
高倉 やっぱり若い選手はいいですね。若いってだけで可能性を感じるから。

大竹 大橋さんは確かにトリッキーなプレーができて、アイディアを持っている子が好きなように思います。受け手も出し手もどのくらいオプションを持っているかを重視しているような気がする。そんな個性と組織力を組み合わせようとしているのではないでしょうか?

日々野 宇津木さんと永里さんが3人のお勧め選手ということですか。10代の2人には大いに期待したいですよね。アテネ五輪以降、若返りが図られたなでしこジャパンですけど、雰囲気はどうでしょう?
高倉 確かに何人かメンバー変更はありましたけど、柱になる選手は変わってませんよね。それに代表チームは大会ごとにメンバーが入れ替わるから、雰囲気はそう変わらないんじゃないかな。
野田 みんな仲いいですよ。
日々野 今の日本サッカー界では「若い世代には個性がない」とか言われがちですけど、女子の選手たちはどうなんでしょう?
高倉 もちろん個性はありますよ。それをどう出すかが私たちの頃より上手かもしれないね(笑)。
大竹 時代の流れはありますよね。昔は男も女も強烈な個性を持つ人間がいたけど、今は同じようなキャラクターが多いかもしれない。なでしこジャパンの場合は認知度が上がって、今は周りから見られることに喜びを感じている部分が大きいから、みんな「手抜きはできない」と思ってる。それがメンタルの面でプラスに働いているんじゃないかな。
野田 アテネ五輪で注目されたことで、サッカーの質が求められるようになったのは事実ですね。東アジア大会にしても、五輪の前だったら「頑張れ!」で済んだんだろうけど、今となっては「絶対に勝て!」となっている。本当の勝負が求められてきていますね。
大竹 女子の選手たちがアルバイトをしながらプレーしたりしていることを今はみんなが知ってますよね。「お金は少しだけでいいからサッカーに集中したい」という選手たちの言葉が世間の関心を引いたのもあると思う。

Part.2:「アテネ五輪の躍進を先につなげることが一番大事!」

Part.3:「日本の目指すサッカーをしっかりと見せ付けてほしい!」


野田 朱美(Akemi NODA)

女子サッカー史上に輝く名選手。1982年読売(現日テレ)ベレーザ入団。中学3年生にして女子サッカー日本代表入り。1990年〜1993年ベレーザのLリーグ4連覇に大きく貢献し、MVP、得点王、ベストイレブンにも輝く。1994年第12回アジア大会(広島)にて銀メダルを獲得(MVP)。1995年第2回女子ワールドカップ(スウェーデン)において日本人初のゴールを決め、ベスト8入りを果たす。数々の国際大会を経験し、1996年アトランタオリンピックにキャプテンとして出場。オリンピック終了後、現役を引退。その後、サッカー解説者としてテレビ、雑誌などで活躍中。

高倉 麻子(Asako TAKAKURA)

なでしこジャパン(2004年〜)以前の女子サッカー界の歴史を作ってきた名選手。1991年第1回女子ワールドカップ(中国)、1996年アトランタオリンピック出場など代表歴代3位の79試合出場、同5位の29得点を誇る。読売(現日テレ)ベレーザでは野田朱美と共に1990〜1993年のLリーグ4連覇に貢献。その後、1999年6月に松下電器女子サッカー部バンビーナへ移籍。2000年には米女子リーグのシリコンバレー・レッドデビルズでもプレー。昨季、スペランツァF.C.高槻にて現役を引退。Lリーグでは226試合出場(歴代1位)し、44得点を記録している。今後は「指導者の勉強をしていきたい」と次世代のなでしこジャパン育成に力を注ぐ。

大竹 奈美(Nami OTAKE)

双子の美人姉妹として、妹:由美と共に読売(現日テレ)ベレーザに入団。Lリーグ3連覇、全日本選手権優勝4回と数々のタイトル獲得に貢献。Lリーグでは157試合に出場し104得点をあげる。また100得点第一号を記録し、女子サッカーに名の残るストライカーとして活躍。また日本代表としても国際Aマッチに通算45試合出場し、32得点という成績を残す。1995年ワールドカップ(スウェーデン)ではベスト8入り、1996年アトランタオリンピック出場、そして1999年ワールドカップ(アメリカ)では日本代表で唯一のゴールをあげる。2001年7月現役を引退。引退後プロのコーチとしてサッカークリニックや女子チームで後輩の指導に関わりながら、試合の解説、スポーツ番組のゲスト出演、コラム執筆などの活動をし、女子サッカーの発展やスポーツの普及に注力している。

日々野 真理(Mari HIBINO)

Jリーグ中継ベンチリポーター、スカイパーフェクTV!のサッカー番組に出演、情報番組のリポーターや報道番組のキャスターなど、フリーアナウンサーとして活動するほか、雑誌やウェブサイト「J’s GOAL」などに執筆も。女子サッカーに関しては、試合の中継リポーターのほかに、2003年女子ワールドカップではTBSのインタビュアーとしてアメリカへ、昨年のアテネ五輪でも女子代表に密着。女子サッカーに関しては、サッカーマガジン、サッカーaiなど多数執筆。J’sGOALでは「なでしこジャパン」を担当する。
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