9月19日(土) 2009 J1リーグ戦 第26節
川崎F 0 - 2 浦和 (19:03/等々力/22,390人)
得点者:67' ポンテ(浦和)、80' 鈴木啓太(浦和)
スカパー!再放送 Ch185 9/21(月)05:00〜(解説:水沼貴史、実況:下田恒幸、プレーヤー解説:名波浩、リポーター:高木聖佳)
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闘莉王、坪井慶介のCBコンビを中心とした4枚の最終ラインに加え、ボランチの阿部勇樹がアンカーとして守備に専念。そうやって作られた浦和の守備ブロックは強固だった。結局川崎Fは最後までこの壁を越える事ができなかった。守備をベースにした堅実な戦いで勝点3を手にしたフィンケ監督の試合後の説明は次のようなものだった。
「川崎フロンターレの攻撃陣がいかに強力なのかは知っていました。また、試合の前に私たちの選手に対し、もしかしたら川崎の攻撃陣はJリーグの中でもっとも強力なものかもしれない、という事を伝えていました」
つまり浦和は川崎Fの攻撃力を最大限に評価したところからゲームプランをスタートさせていたのである。そしてその意図を踏まえて編成された布陣によって、浦和は川崎Fの攻撃を停滞させる事に成功する事となった。
川崎Fは自陣ではパスをつなぐことができるものの、その状態でセンターラインを超える事ができなかった。「今日は本当に前から後ろまで、コンパクトさを意識してやっていました」とエジミウソンが振り返るとおり、コンパクトさを維持した浦和の中盤に川崎Fは手こずっていた。
コンパクトさを維持し、ボールを保持する相手選手を囲い込むという事は選手が一方のサイドに偏っているという事でもある。そうした状況を把握した上で森勇介は「通らなかったんですが、村上からサイドチェンジがあって、ああいうのがもっと出てくれば広く使えたと思う。相手が一つのサイドに居たので、サイドチェンジをもう少しできていればよかった」と反省の弁を述べていた。いずれにしても川崎Fは浦和の守備意識の高さの前に思うように攻撃の形を作れず。その一方で浦和はサイドからの攻撃に活路を見出すべく、執拗に両サイドにボールを散らし続けた。
浦和からしてみればリスペクトすべき川崎Fの攻撃を食い止めているという点でゲームプランどおり。そしてそうした浦和の出方に対し、川崎Fの選手たちは多少なりとも違和感を感じていたようである。たとえば中村憲剛は「予想外ではなかったんですが」と言い添えつつも「浦和さんはうちのやりたい形を消してきていた。守備第一で入ってきていました。もう少しアグレッシブに来るかと思っていました」と思うように崩せなかった試合を振り返っていた。
一方のチームが持つ守備意識の高さによって生まれた均衡状態にある試合というのは、結局のところ「固い」という印象の試合となる。もちろんこの試合もそうした内容になるのだが、そんな試合を振り返るフィンケ監督の言葉で印象的だったのが「先取点を奪ったチームが今日の試合で勝利を収めるだろうと考えていました」というものだった。そしてそうした固い試合展開を打開する「飛び道具としてのセットプレー」の有無は大きな意味を持っていた。
浦和にはポンテというキッカーと共に闘莉王という決定的なフィニッシャーがいた。そしてこの二人が仕事をしたのが、後半の67分のFKの場面だった。ゴールからは30mほどの地点で得たFKの場面。キッカーのポンテが蹴った弾道は絶妙な軌道を描いてゴール前へ。ターゲットとなった闘莉王に意識が集中する中、結局ボールは誰にぶつかることなくゴールの中へ。守備意識をベースに拮抗していた試合が、その均衡を破られた瞬間だった。
1点を失った川崎Fは反撃のためにより攻撃的なプレーに傾倒していく。しかし、老獪さをも感じさせる浦和守備陣の壁は高かった。決して川崎Fにチャンスがなかったわけではなかったのだが、チャンスの数自体が少ない試合の中で、焦りがプレーに出てしまっていた。放つシュートは枠を捉えきれず、もう一本パスがつながっていれば、という場面で浦和守備陣の網にかけ続けた。
同点ゴールを狙った川崎Fの追い上げをかわすがごとく、浦和が追加点を決めたのが後半の80分の事。「ゴールがあればいつも喜びますが、特にあのように多くの選手が絡んでのゴールには特に大きな喜びを感じています。実際にボランチの鈴木啓太があの位置まで走りこんで決めるという事はすばらしい事です」とフィンケ監督が手放しでその過程を絶賛したシュートは、その豪快な弾道と共に試合を決定付けるゴールとなった。
リーグタイトルのためにはどうしても落とせない試合だったが、川崎Fの攻撃は最後まで浦和の壁を崩すことができなかった。今節敗戦した鹿島を追い上げたかった川崎Fは、結局勝点を上乗せする事ができず、暫定ながら順位を4位にまで下げている。一方、得意の等々力で快勝した浦和は、3連勝した7月11日以来の連勝で、勝点を40にまで伸ばし、ACL圏内はもちろん、優勝の可能性も視野に入れてきている。
以上
2009.09.20 Reported by 江藤高志




































