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1週間に2回抗原定性検査をやった方が同一組織内のクラスター発生率が低い、村井チェアマン最後の報告。第50回新型コロナ対策連絡会議会見レポート

2022年4月4日(月) 10:30

1週間に2回抗原定性検査をやった方が同一組織内のクラスター発生率が低い、村井チェアマン最後の報告。第50回新型コロナ対策連絡会議会見レポート

1週間に2回抗原定性検査をやった方が同一組織内のクラスター発生率が低い、村井チェアマン最後の報告。第50回新型コロナ対策連絡会議会見レポート
一般社団法人日本野球機構(NPB)と公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)が連携する「新型コロナウイルス対策連絡会議」の50回目が、7日に開かれた

※2022年6月2日 更新
発言内容が示す調査に関する情報を更新

※2022年4月4日 更新
発言内容が示す調査資料を追加

一般社団法人日本野球機構(NPB)と公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)が連携する「新型コロナウイルス対策連絡会議」の50回目が、7日に開かれた。

節目の50回目となる今回の会議は、今月に任期を終えるJリーグ村井 満チェアマンの最後の参加となった。

会議後のリモート会見で村井チェアマンは「今日の会議をもって私は最後となるご報告をさせていただきました。後任のチェアマンが3月15日付けで就任します。次回から野々村が参加するということで皆様にもご紹介させていただきました」と話した。

今回の会議では、選手やチームスタッフを対象に2022シーズンから採用している週2回の抗原定性検査について、デルタ株の流行期に採用を決定したものの、オミクロン株に置き換わり、Jリーグ関係者の陽性者数も増加傾向にある中(表1)、現状を前提とした場合にも、検査の感度と頻度が最適かどうかを改めてシミュレーションした内容が産業技術総合研究所および研究チームMARCOから中間報告として共有されている(2022年4月4日最終報告)。

村井チェアマンによると、Jリーグの検査実績に基づくと、表2(PCR検査に対する抗原定性検査の感度の平均)のとおり、PCR検査に対して抗原定性検査はおよそ6割の感度であることが分かったという。

2022年4月4日掲載

表1  Jリーグの陽性者推移*
期間:2021年12月20日~2022年2月28日まで
陽性者数:330名(2021年7月1日~8月31日の陽性者は64名)

*Jリーグ規約47条に記載されている者のうち、エントリーの可能性のある選手・スタッフ、ならびにエントリーの可能性のある選手・スタッフに接触している可能性のある者の陽性件数(発症日か検体採取日の早いほうを採用)

表2 抗原定性検査(鼻腔)とPCR検査の比較*

*2022年1月12日から3月2日までにJクラブからJリーグに報告された、抗原定性検査(鼻腔)とPCR検査を同日に実施した件数を集計。抗原定性検査の大部分はアボットPanbio™ COVID-19 Antigen ラピッド テスト、ロシュSARS-CoV-2 ラピッド抗原テスト。PCR検査は全て各クラブが自主的に実施しているものであり検体の種類は未確認。
**無症状の対象者は、その後も症状を呈さない。

単純な感度だけで比較すると6割という数字は高いか低いか評価が分かれるが、PCR検査は判定が手元でわかるまでに1日~数日と時間がかかり、一方の抗原定性検査は約15分で判明する。曝露から発症までの期間の短いオミクロン株の性質上、PCR検査の結果を待つと感染リスクが高まりかねない。そこで、PCR検査と抗原定性検査とで、現実的に実施可能な頻度をパターン化し、チーム内でクラスターとなるリスクがどの程度かを比較し、検査手法別の感度と頻度の最適なバランスを検証したのが今回の報告であった。

村井チェアマンは「毎日PCR検査を実施するのがよいのは当然であるが、それでは選手達に多大な負荷を強いるし経済面や資源の占有にもつながるため非現実的である。そこで現実的に運用できる隔週に1回、1週間に1回のPCR検査と、1週間に2回の抗原定性検査を比較し、さらに抗原定性検査はPCR検査と比較した感度をそれぞれ3,5割、5割、7割と3パターンでシミュレーションした結果、「感度5割」であっても、週2回抗原定性検査を実施したほうが、週1回のPCR検査より同一組織内のクラスター発生率が低いとの分析結果が示されました(※)。現状のJリーグ内の検査制度は6割と出ておりますので、(オミクロン株の流行下においても)1週間に2回の抗原検査が妥当であるということが改めて分かりました」(※産業技術総合研究所および研究チームMARCOによる最終報告は2022年4月4日に公表

ただし、個々の検査結果を見ていくと、抗原定性検査で陰性判定であっても直後のPCR検査が陽性判定となるケースも複数件あるため、それぞれの検査手法の特徴や、メリット・デメリットについて、実際に検査を行う選手達へ丁寧に説明しながら、チーム全体のクラスター防止と選手個々の感染防止の両面を徹底していく必要性も課題として報告された。

また今回が最後となる村井チェアマンは、2年間に渡った「新型コロナウイルス対策連絡会議」を、次のように振り返った。

「野球界の懐の深さに救われたと言いますか、Jリーグ単独ではまったく何もなしえなかったと思います。専門家チームの先生方の助言があり、野球界との連動があってここまで来られたと感じています。ガイドラインはもう47回更新しているんですね(3月8日時点で49回)。ひとつの大きな意思決定と言うよりも、呼吸をするように毎日毎日、この会議を軸に練り込んでいったものがガイドラインに反映されています。継続しながらやってきたガイドラインが私の大きな財産かなと思っています」

また、2年前にリーグの中断を決定し、リーグを再開にこぎつけたことが、ターニングポイントになったという。

「2月25日に明治安田生命J1・J2リーグの第1節を終えた後に、第2節以降のリーグ戦、ルヴァンカップの中止を決定したのですが、中止を意思決定するよりも、再開の意思決定のほうが、難易度が高いというのは中止した時点で感じていました。結局4カ月中断するわけですが、再開の大きな決め手になったのは、(当時の)2週間に1回のリーグ一律でのPCR検査の体制であったり、様々なガイドラインの整備でした。このあたりはどう考えても我々サッカー界単独ではなし得なかったので、皆様のお力添えで再開にこぎつけたことが、ひとつの大きなターニングポイントだったというような気がしています」

2022年6月2日 追記
なお、選手・スタッフらを対象に行われた新型コロナウイルス感染症の検査結果に関する情報は、個人を識別する内容を除き、倫理審査等の適切な手続きを経て、東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター(研究代表者 井元 清哉)が実施する新型コロナウイルス感染症の効果的な検査体制の構築に向けた研究へ活用されます。本研究の対象者の方の中でこの情報を研究に利用して欲しくないとお考えの場合、研究対象から除外できる場合があります。詳しくは、下記をご参照ください。

研究に関するお知らせ
(東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター公式ホームページ)
https://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/content/000006207.pdf

 

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