Jリーグは、2026年1月28日に、2024年に続き2回目となるサステナビリティカンファレンスを実施しました。
国際連合大学で開催された本カンファレンスには、Jクラブ担当者やパートナー企業、各スポーツ団体や官公庁・自治体などから174名が参加。2025年4月にアジアで初となる参加表明をしたSports Positive Leagues(以下 SPL)のキックオフとして、SPL創設者のクレア・プール氏と、英国でも最先端の取り組みを行うクラブのひとつであるブリストル・シティFCのピーター・スミス氏をゲストにお迎えし、Jリーグ版SPL評価項目の初公開や今後の取り組みスケジュールの紹介、そして具体的なアクションにつなげるための意見交換などを行いました。
■実施の背景
Jリーグは、サステナビリティの活動領域をPEOPLE(インクルーシブな社会へ)、PLANET(気候アクション)、COMMUNITY(地域コミュニティの醸成)の3つと定義していますが、昨今の気候変動による温暖化や災害の激甚化を受けて、次世代にスポーツができる環境をつないでいくことが喫緊の課題であると、2023年に気候アクショングループを立ち上げ。ロードマップを策定し、各種気候アクションを推進してきました。

2027年の「行動が変わる」フェーズに向け、より具体的なアクションをサッカーファミリー全体で推進していくべく、サステナビリティへの取り組みが進んでいる欧州で実績のあるSPLが行動指針の枠組みとして適していると考え、2025年4月にアジア初となる参画を表明しました。
その後SPLの評価項目を日本での運用を鑑みて最適化し、本カンファレンスでの公開に至りました。SPLの運用によって、Jリーグの気候アクションがより前進するものと考えています。
なお、SPL、サステナビリティカンファレンスは、公益財団法人日本財団の助成を受けています。

■SPLについて
●SPL概要
サッカークラブの気候アクションを数値化し、その進捗や目指すべき方向性をわかりやすく把握できる仕組み。SPLへ各クラブから報告された気候変動対策にとって重要な12項目の取り組み状況について、独自の評価基準マトリクスを用いて定量的に効果分析が行われる。エネルギー、廃棄物、交通など、カテゴリーテーマ別に加重を設けて総合点を算出。SPLからスコアとリーグテーブル(順位表)が公表され、活動内容とともに参画する全クラブが横断的に紹介される。
●SPL評価項目
評価項目の詳細については、SPL専用ページをご確認ください。
SPL専用ページ:https://www.jleague.jp/climateaction/spl/
●SPLの今後について
2026特別シーズン(2026年1~6月)における各クラブの取り組みを評価対象とし、2026年11月に評価を元にしたランキングの公表を実施予定です。
スケジュール
・2026年7~9月:各クラブの情報収集・分析期間
・2026年10月:各クラブの活動の評価(Sport Positive にて評価・順位を確定)
・2026年11月:ランキング公表
・2026年7月~2027年6月:2026/27シーズンにおけるSPLの評価対象期間
■サステナビリティカンファレンス 実施概要
・名称:サステナビリティカンファレンス2026
・開催日時:2026年1月28日(水)12:00~16:30
・場所:国際連合大学(UNU)ウ・タント国際会議場
・開催方式:会場+オンラインライブ配信のハイブリッド
・後援:国際連合広報センター
・協力:Sport Positive、ブリストル・シティFC
・参加者:Jクラブ、パートナー企業、官公庁・地方自治体、その他スポーツ団体等
(会場参加:174名)
・内容:JリーグにおけるSPL評価基準の発表、SPL創設者とブリストル・シティFC講演など
■実施の様子 ※詳細レポートは後日公開します
●Jリーグチェアマン 野々村 芳和 ご挨拶

野々村は、「昨今の気候変動の影響を受けて、Jリーグの試合を行うことはもちろんのこと、子どもたちがプレーをすることが難しい環境になってきている。サッカーは世界中で大きなネットワークを持っているスポーツであるため、そのネットワークを通じて1人でも多くの人の意識や行動が変わることで、社会を動かしていく大きな力にもなっていくのではと感じている。『必要性は分かっているし何か行動をしたいが、何からやればいいのか分からない』という声をいただくことがあるため、今日のこの場が少しでも具体的な行動がしやすくなるきっかけになれば」と語りました。
●Jリーグ執行役員(サステナビリティ領域担当)辻井 隆行 ご挨拶

辻井は「SPLはサッカーと同じように順位付けをしますが、気候アクション自体は『誰かが勝って誰かが負ける』という性質のものでありません。むしろ、気候変動は『全員が勝つか、全員が負けるか』という種類の課題です。ですから、大切なことは、各クラブが競技性を意識しながら取組みを進めつつ、良い事例をシェアし合って『全員で気候変動という人類共通の課題に勝つこと』だと考えている」と、皆さんに向けて改めて伝えました。
●公益財団法人日本財団 理事長 笹川 順平氏

笹川理事長は「Jリーグ、そしてその先にいらっしゃる全国60クラブの皆さんが今までにない形でネットワークを作り、切磋琢磨してくことが重要だと考えています。なぜなら皆さんは地域に密着し、地域の問題をよく知っている。そしてその課題を解決するパッションと技術があると思うからです。今日の学びを通じて、日本の社会の未来を築いていただく礎になっていただければ、私たちとしても幸いです」と語りました。
●クレア・プール氏 基調講演

Sport Positive Leaguesの創設者であるクレア氏は、2010年から気候変動、サステナビリティ、再生可能エネルギーの分野に携わってきましたが、2014年からスポーツとこれらの分野を結びつけた取り組みを始めました。Sport Positiveは現在、スポーツとサステナビリティ分野において、世界的に認知された組織となっています。
その後、2018年にSPL(Sport Positive Leagues)を設立し、SPLは欧州の多くのサッカーリーグを巻き込みながら成長し、現在ではアジアにも広がるグローバルなムーブメントへと発展しています。また、クレア氏は毎年開催される国際的に評価の高いサミットのホストも務めており、2025年には約40か国から、世界のスポーツエコシステムに属する600以上の組織が参加しました。
クレア氏は、「完璧さよりも前進することが重要である」と強調し、SPLはクラブ同士が競い合うためのものではなく、各組織の取り組みを可視化することで協働を促し、全体としてのアクションの水準を引き上げることを目的とした取り組みであると説明しました。
また、ファンやサポーターを巻き込むことで、SPLが社会全体の意識変革につながることへの期待も示しました。
●ピーター・スミス氏 基調講演

ピーター氏はブリストル・シティFCにおける、具体的な取り組み事例を紹介しました。
ブリストル・シティFCは2022年に、サステナビリティプロジェクトである「Project Whitebeam」を始動しました。「スタジアムにおける100%再生可能電力の使用」、「使い捨てプラスチックの削減、廃棄物管理の徹底」、「公共交通機関利用促進策の実施」、「プラントベース食品の提供拡大」など、複数の取り組みを紹介。
なおブリストル・シティFCは、現在EFLチャンピオンシップ(イングランド2部)に所属しており、Jリーグとも比較的事業規模が近いクラブですが、2022-23シーズンのSPLランキングにおいて、72のEFLクラブの中で「世界で最もグリーンなクラブ」に次ぐ2位を獲得した実績もあります。その立場から「サステナビリティ活動においては一定の初期投資が必要だが、長期的には経済的メリットも創出している」と、クラブ関係者に向けてアドバイスを送りました。
●その他実施の様子
「Sport Positive Leagues日本版」の発表、概要説明や、Jクラブにおける具体的な取り組みと課題感などのパネルディスカッション、参加者が今後注力したいサステナビリティの領域や課題感などについて議論を交わしたグループディスカッションなどが行われました。





































