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プレスリリース

2012/03/02 10:00

【 2012Jリーグキックオフカンファレンス 】Jリーグ大東和美チェアマンの挨拶

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Jリーグチェアマンの大東和美です。2012Jリーグキックオフカンファレンスにお越しいただき、誠にありがとうございます。
本日は2012シーズンを迎えるにあたり、今、Jリーグが考えていることについて、ご説明をいたします。

Jリーグは、この20年間、「スポーツで、もっと、幸せな国へ。~Jリーグ百年構想~」を掲げ、地域に根差したスポーツ文化の振興活動に取り組んで参りました。

・20年で、入場者数は400万人から800万人へ。
・10クラブだったクラブ数は40クラブ、29都道府県へ。
・Jリーグの発足、発展により、悲願だったFIFAワールドカップへの出場も、4大会連続。その内2回はベスト16に達するまでになりました。

一言で言えば、この20年間は、「サッカーが日本のメジャースポーツの一つとして成長を遂げた20年間」ということができると思います。

ここで、20年にわたって一緒に支えていただいた諸先輩方、先人たち、パートナーの皆様、選手や監督、スタッフなどのクラブ関係者の皆さま、そして、多くのメディアの皆さま、全国のファン・サポーターの皆さまに深く感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。

さて、日本社会全体に目を転じますと、この20年、世の中の環境は大きく変化しました。「失われた20年」という言葉も頻繁に耳にいたします。 現在、日本は人口バランスが大きく変容し、先進国の中で最も高齢化が進む国になっており、中でも、社会保障費の増大、年金財政圧迫の問題が深刻化しています。Jリーグにおいても、入場者の平均年齢は、この7年間で4歳ほど上昇しています。

また、インターネットの普及を始めとするメディア環境の変化は、人々の行動様式を大きく変えました。サッカーの世界でも、インターネットや衛星放送の普及により、いまやプレミアリーグやブンデスリーガを始めとする欧州サッカーの情報に常時接することが可能になりました。

さらに、昨年は東日本大震災という未曾有の災害がありました。被災者の皆さんはもちろんのこと、国民全体に極めて大きな影響を及ぼし、復興へ向けてやるべきことが山積みの状況です。 Jリーグはこの出来事を決して忘れることなく、「チカラをひとつに。TEAM AS ONE」として40クラブ一丸で復興支援を続けて参ります。

このように、日本全体に停滞感、閉塞感が蔓延している状況で、Jリーグは20年目のシーズンを迎えます。しかし、Jリーグは立ち止まるわけにはいきません。Jリーグが再び日本のスポーツや社会全体を牽引する存在であり続ける、そのような決意を新たにしているところであります。

本日は、こうした決意の下、Jリーグが取り組み始めたこと。そしてその先に思い描いている未来像についてお話ししたいと思います。

まず、今シーズンからの取り組みについてお話しします。大きく二つ。大会のあり方の変更と、ピッチ内外のクオリティ改善です。

まず、大きな取り組みの一つ目は、大会の有り方を変える、という点についてです。この点については既にご承知の通り、本年より、J1昇格プレーオフの導入、そしてJ1土曜、J2日曜の原則固定開催、という二つの施策を導入いたします。J1昇格プレーオフの背景にあるのは共生と競争という考え方です。

競争がなければ魅力がなくなり、プロサッカーリーグは成り立たなくなります。 一方、プロサッカーリーグは対戦相手の存在があって初めて成り立ちます。クラブ経営の安定なくしては、リーグもまた成立しなくなるのです。J1昇格プレーオフでは、競争の強化の観点から、J2リーグ戦全体の活性化。そして、共生の進化の観点から、J1昇格条件を満たすクラブ数の増加を目指します。

大会のありかたを変えるもう一つの取り組みは、J1土曜、J2日曜の原則固定開催です。これは、試合間隔のバラつきを解消し、クラブ間の公平性を確保すること、そして、昨シーズンまで分散開催だった試合日を固定化してより分かりやすくすることを目的として導入いたします。以上が、最初の「大会の在り方を変える」という点で行う施策です。

次に、今シーズンからの大きな二つ目の取り組みとして、ピッチ内外のクオリティ改善についてです。

この点については、ピッチ外として先に発表したJリーグクラブライセンス制度と、ピッチ内の取り組みとして「プラス・Quality・プロジェクト」という二つの施策を導入します。

まず、昨年からご案内してまいりました Jリーグクラブライセンス制度を開始いたします。

Jリーグクラブライセンス制度は、クラブの経営体制の強化にとどまらず、育成や競技環境、スタジアムの充実に至るまで、サッカーに関連するあらゆる分野の水準向上を目的として作られています。全てのクラブが、今後、Jリーグチャンピオン、ACL出場、そして、世界との戦いを目指すために必要な基盤整備である、という点をご理解いただきたいと思います。

そしてピッチ内の施策が、「プラス・Quality・プロジェクト」です。この施策は「試合自体の魅力」をさらに向上していこうというものです。試合のアクチュアル・プレイング・タイムをより長くなるよう改善する。また、観戦するファン・サポーターにとって不快なシーンを排除していく。すぐに取り組むべきこととして、各クラブの選手の皆さん、監督、審判の皆さんと一丸となって、異議・遅延の撲滅を実現していきます。

よりフェアで、クリーンで、タフな試合を提供するために、JFAとJリーグが共同で行う「RESPECT・プロジェクト」の一環として、強い決意をもって活動してまいります。本日この後、プラス・クオリティ・プロジェクトを実現していくべく、監督・選手代表とともに憲章にサインをいたします。

最後に、その先に思い描いているJリーグの未来像についてご説明をいたします。まず、一つ目、「アジアサッカー発展への貢献」についてご説明します。

日本サッカーがFIFAワールドカップやACLで上位の成績を安定的に得るためには、国内の競争だけでなく、韓国や中東を含むアジア、また、ヨーロッパや南米との競争によって、クオリティを高く保っていくことが重要です。

既に、日本での欧州のトップリーグのテレビ中継は当たり前の環境です。選手やファン・サポーターの中に、Jリーグだけでなく、欧州のトップリーグの方に関心を寄せている人たちがいても不思議ではありません。

しかし、アジアに生きる我々にとっては、アジアのサッカーの水準を高めていくことは必要不可欠です。Jリーグがアジアの中で中心的な存在になること。Jリーグがリーダーシップを取り、アジアのサッカー全体を盛り上げていくことが、大変重要です。そこで今シーズンから、Jリーグとアジア各国リーグとのパートナーシップを発展させ、これまで培ったJリーグのノウハウやスキルを、各国のリーグへシェアしていく活動を強化することにいたしました。そして同時に、アジアにおけるJリーグのメディア価値、スポンサー価値を高めていきます。

まず今年2月には、タイ・プレミアリーグとのパートナーシップ協定を締結しました。今シーズンから、タイにおいて、Jリーグの地上波テレビ放送を開始いたします。地上波テレビ放送に関しては、タイだけでなく、他の国々においても、実現に向けて、さらに活動を強化いたします。併せて、アジアのプロリーグとの提携も積極的に進めてまいります。もちろん、日本のJクラブがACLのタイトルを獲得することも、アジアでリーダーシップを取っていくために大事な要素となります。以上が、「アジアサッカー発展への貢献」のご説明です。

二つ目は、「育成システムのさらなる充実」についてです。申し上げるまでもなく、多くの優秀な選手を輩出していくためには、育成年代の試合環境の整備が必須です。2005年からは、Jクラブのアカデミーに所属する育成年代の選手の選抜チームによる海外キャンプを行っています。昨年メキシコで行われた2011FIFA U-17ワールドカップでは、日本チームがベスト8に入りました。U-13リーグを始めた最初の世代の代表チームが大きな成果を上げました。「育成システムの充実」に関しては、これからも手を緩めることなく、継続的に強化に取り組んでまいります。

三つ目は「地域に根付いたスポーツ振興の強化」についてです。ご承知の通り、Jリーグはこの20年間、ホームタウンの人々に対し気軽にスポーツを楽しめる機会を提供するための活動を続けて参りました。しかし、この間、先にお話しした通り、社会全体の高齢化が進み、先進国の中で最も高い水準にまで至っております。年金原資の増大、健康保険料の圧迫に伴う医療費の負担は、この国のシステム全体の在り方を揺るがすほどの大きな社会問題としてクローズアップされております。他国に目を転じますと、ドイツのゴールデンプランに代表されるように、欧州の国々やオーストラリアなどでは、一人当たりの医療費を削減するために、個々人のスポーツを奨励しています。

先日、中央教育審議会の分科会が「スポーツ基本計画」の答申案を了承したという発表がございました。これにより、今後、国によるスポーツ政策がさらに加速することになります。こうした動きを踏まえつつ、20周年を迎えたJリーグも、 「地域に根づいたスポーツ振興の強化」のためのさらなる検討に着手します。

本日は、 一つ目に大会の有り方を変える、二つ目にピッチ内外のQuality改善、三つ目にJリーグの未来像という、大きく三つのテーマでお話しをいたしました。そして最後に、本日申し上げたことを、これから力強く進めていくための我々Jリーグの決意を示す言葉を皆さんにご紹介して私からのプレゼンテーションを終わりたいと思います。

「Take Risk. Change the Game.」

リスクを怖れない、新しいチャレンジを実践して、連携を呼び起こし、局面を変え、枠組みさえも変えていこう、それがこの言葉の意味です。これからの日本のために、選手や監督、クラブのメンバー、パートナー、ファン・サポーターやメディアの皆さん、
全てのJリーグを愛する皆さまと共に、それぞれのチャレンジを実践し、一人ひとりのアクションによって、新しい時代を切り開いていきたいという願いでもあります。

「Take Risk. Change the Game.」

スポーツで、もっと、幸せな国へ。
さあ、2012シーズン、スタートします。

本日はありがとうございました。

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