Jリーグでは2012シーズンより、試合自体の魅力向上を目指すための新たなプロジェクト、「+Qualityプロジェクト」(プラスクオリティープロジェクト)を発足する運びとなりました。
同プロジェクトでは、選手、監督、クラブ代表者がそれぞれの「憲章」に合意・署名し、試合における異議や遅延行為などを減らすことに取り組むほか、フェアで、クリーンで、スピーディーで、タフな試合の実現を目指していきます。プロジェクトの概要は以下のとおりとなります。
【+Qualityプロジェクト (プラスクオリティープロジェクト) 概要】
■実施施策
- Jリーグ憲章の策定
2012シーズンの開幕に合わせ、Jリーグに所属するすべての選手、監督(スタッフ含む)、実行委員が、試合に臨む上での共通認識となる「憲章」に署名いたします。
本日のキックオフカンファレンス第1部において、選手の代表者と監督の代表者による共同宣言として、憲章へのサインセレモニーを行います。
※「選手憲章」および「監督憲章」の文面についてはこちらをご確認ください。 - 異議行為と遅延行為の罰則強化
2012シーズンより、警告で加算される反則ポイント※の加算方法が変更になります。
これまで警告については、理由を問わず1ポイントの加算としていましたが、今シーズンより異議行為と遅延行為については、1ポイントをさらに加算します。
※反則ポイント:
警告、退場、出場停止によって加算されるポイント。Jリーグアウォーズにおけるフェアプレー賞の選定や、クラブに対する「アンフェアなプレーに対する反則金」の請求の選定における基準となる。
■プロジェクト名称について
「+Qualityプロジェクト」(プラスクオリティープロジェクト)
全力プレーは当たり前。これからはファンやサポーターの目線で、もっと質の高い試合とは何か、つまり「+Quality」を追求することで、試合の魅力アップにつなげていきたいという意気込みを込めた。+Qualityの精神は、ファン・サポーターのためであり、Jリーグを支援いただくすべての方々の未来のためでもある。
■憲章イメージ
- 選手憲章
- 監督憲章
■反則ポイントについて
- 従来の算出方法
1)退場1回につき3ポイントを加算する。
2)同一試合における警告2回による退場も、1回につき3ポイントを加算する。
3)警告1回につき1ポイントを加算する。
4)出場停止1試合につき3ポイントを加算する。
5)大会の終盤で、残り試合数よりも出場停止試合数が多い場合は、出場停止試合数分をポイント加算する。
6)ベンチにいる交代要員、またはチームスタッフに対する処分も、ポイント加算の対象とする。
7)他大会の影響で出場できない試合については、ポイント加算しない。
8)警告および退場(退席を含む)がなかった試合1試合につき、3ポイントを減ずる。2012年度フェアプレー賞受賞ポイント・・・J1:34ポイント以下、J2:42ポイント以下
2012年度アンフェアなプレーに対する反則金ポイント・・・J1:103ポイント以上、J2:127ポイント以上 - 改定に伴う新たな反則ポイントの加算方法
【例】2011シーズンの反則ポイントと2012シーズン新基準によるポイント差
J1 | 2011基準 | 2012新基準 | 差分 |
---|---|---|---|
ガンバ大阪 | 25 | 30 | +5 |
モンテディオ山形 | 34 | 42 | +8 |
横浜F・マリノス | 38 | 44 | +6 |
鹿島アントラーズ | 40 | 50 | +10 |
ジュビロ磐田 | 45 | 51 | +6 |
大宮アルディージャ | 51 | 60 | +9 |
名古屋グランパス | 57 | 66 | +9 |
アルビレックス新潟 | 63 | 73 | +10 |
ベガルタ仙台 | 65 | 70 | +5 |
ヴァンフォーレ甲府 | 67 | 75 | +8 |
アビスパ福岡 | 72 | 84 | +12 |
柏レイソル | 74 | 85 | +11 |
ヴィッセル神戸 | 77 | 90 | +13 |
川崎フロンターレ | 78 | 82 | +4 |
サンフレッチェ広島 | 82 | 86 | +4 |
セレッソ大阪 | 84 | 95 | +11 |
清水エスパルス | 92 | 103 | +11 |
浦和レッズ | 102 | 113 | +11 |
J2 | 2011基準 | 2012新基準 | 差分 |
---|---|---|---|
FC東京 | 38 | 44 | +6 |
湘南ベルマーレ | 41 | 48 | +7 |
コンサドーレ札幌 | 46 | 55 | +9 |
愛媛FC | 53 | 60 | +7 |
栃木SC | 55 | 67 | +12 |
カターレ富山 | 67 | 73 | +6 |
徳島ヴォルティス | 72 | 81 | +9 |
ガイナーレ鳥取 | 86 | 96 | +10 |
サガン鳥栖 | 88 | 97 | +9 |
ロアッソ熊本 | 88 | 96 | +8 |
ザスパ草津 | 92 | 103 | +11 |
京都サンガF.C. | 95 | 100 | +5 |
東京ヴェルディ | 102 | 109 | +7 |
横浜FC | 107 | 119 | +12 |
FC岐阜 | 110 | 122 | +12 |
水戸ホーリーホック | 112 | 127 | +15 |
ジェフユナイテッド千葉 | 117 | 125 | +8 |
大分トリニータ | 125 | 141 | +16 |
ファジアーノ岡山 | 128 | 136 | +8 |
ギラヴァンツ北九州 | 180 | 189 | +9 |
<参考資料>
■観戦者傾向
◎Jリーグディビジョン1 平均入場者数
- 2008シーズンを境に減少傾向が続いている
- 2011シーズンは前年比14%減で、過去の18シーズンで最大の減少幅
◎原因分析の結果
調査(1):前年から減少した「14%」の内訳について要因を分析
結果 | 6% 東日本大震災による日程変更、天候による影響等の理由 8% お客様の個人的な理由 |
---|
調査(2):2011年スタジアム離反調査(上記「お客様の個人的理由」の内訳を調査)
方法 | インターネット調査 |
---|---|
対象 | 2010シーズンはJリーグを観戦したが、2011シーズンは観戦しなかった層 |
結果 | 試合観戦をしなくなった理由 第1位 Jリーグの試合が面白くなくなった |
■ピッチ上における傾向
◎J1における異議行為とアクチュアルプレーイングタイム
問題点 | 2009 | 2010 | 2011 |
---|---|---|---|
異議行為による警告 | 55 | 67 | 71 |
アクチュアルプレーイングタイム | 56.08分 | 54.43分 | 54.39分 |
- 観戦者にとって見苦しい異議行為が増えている
- アクチュアルプレーイングタイム(実際のプレー時間)が減り、観戦者がプレーに触れる時間が減少している
■他国リーグでのゲームクオリティ向上施策の例
- イングランド・プレミアリーグ
「GET ON WITH THE GAME」(2008/09~)
(主な施策)
・選手、監督、クラブ代表者による「CHARTER(憲章)」の制定
・放送権ライツホルダーと連動したレフェリー視点の中継等の展開
・両チームキャプテンとレフェリーによる試合1時間前での出場選手リスト交換
(成果等)
・4シーズンで異議による警告数は125から65に減少 - 韓国・Kリーグ
「5 minutes more」(2010~)
(主な施策)
・異議、抗議、遅延、シミュレーションなどの行為に対する警告措置の強化
・選手交代のスピードUP
(成果等)
・平均ファール数の減少