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2008/07/31

2008Jリーグ GM講座

6月から始まった「2008Jリーグ GM講座」のセッション3が、7月30日(水)~31日(木)に開かれました。「チーム強化・GM論」がテーマとなった今回は、GMとして求められるコンピテンシー(高い成果を発揮する人物が有する行動特性)に関する考察を深めることをセッションの目的としています。初日には、受講者のロジカルシンキングやコンピテンシーを客観的に測定するべく、約3時間の筆記テストを実施。2日目には、世界で最も成功したGMの事例研究として、浦和レッズとのプレシーズンマッチで来日したドイツの名門クラブ、バイエルン ミュンヘンのGMであるウリ へーネス氏による講義が行われました。

バイエルン ミュンヘンは、クラブとして考えられるすべてのタイトルを制し、1,200万人のファン・サポーターに支えられる世界でも有数のビッグクラブです。へーネスGMは20代後半、負傷によって輝かしい選手生活にピリオドを打ち、クラブの経営をつかさどる現職の道に入りました。以来、約30年間、現在ではドイツ経済界でも有数の手腕を持つマネージャーとなり、現在は、主にスポーツ部門とマーケティング部門を担当し、取締役副会長の肩書きも持っています。

バイエルン ミュンヘンの2006/07シーズンの売上高は14年前の約7倍となり、「欧州でおそらくナンバーワンでしょう」というスポンサー収入の話などを聞くと、彼のリーダーシップの下、ビジネス面において目覚しい発展を遂げてきたことが分かります。しかし、テレビ放送権収入をイタリアやスペインと比較し、増収の余地があることから、「まだまだ頑張らなくては」とさらなる意欲を示していました。

スポンサー収入や放送権収入だけでなく、マーチャンダイジングや入場料による収入も、さすがに欧州屈指のクラブの一つだけあり、金額は破格です。Jクラブとは単純に比較できませんが、自身がマーチャンダイジングの概念などなかった時代から「たたき上げてきた」と語る努力と経験の積み重ねで現在の地位を築いたヘーネスGMの講義には、参考となるフレーズがいくつも含まれていました。例えば、GMに必要とされる能力の一つとして、「スポーツと経済をリンクさせて説明できること」を挙げています。選手獲得についてクラブ上層部を説得したり、スポンサーシップを引き出す企業トップとの交渉など、GMの専門能力を示すことが大切といいます。バイエルン ミュンヘンは昨季、イタリア代表のFWルカ トニ選手、フランス代表のMFフランク リベリー選手らの大型補強を敢行し、見事にブンデスリーガの王座を奪還しました。こうした補強の成功もまた、GMの判断の正しさを説得や交渉の席で証明する材料となります。

こうして得た資金を、育成に振り向け、ドイツ全土から集まってくる子どもたちの「社会環境を考えるのも、重要な仕事の一つ」です。ドイツ代表でも活躍するMFバスティアン シュバインシュタイガー、DFフィリップ ラームなどを輩出した下部組織は定評があり、選手育成を「長い目で見て、いい選手を獲得する最善の道」と位置づけます。もちろん、才能がなかなか開花しない子どもたちへのケアも怠りないということが、クラブに対する信頼の獲得につながっているのでしょう。

受講者からGMに必要な素養について質問されたへーネスGMは、「意志の強さ、人格、実行力」を、「選手の信頼を得るためにも不可欠な要素」として挙げ、「毎日、学ぶという意識を持つこと。例えば汚職などに手を染めないような人格。そして『できない』とは言わず、まずはトライすること」と補足しました。経営面や育成など、多岐にわたる業務に精通するGMですが、「最終的にはトップチームが成功しなければ先はない」とも言います。昨季のブンデスリーガ優勝により、今季はUEFAチャンピオンズリーグに再び挑戦します。「この勢いに乗って、ドイツ全体が活気を帯びることができれば」。社会的にも国内で重要な役割を果たすビッグクラブのGMらしい、責任の大きさを感じる言葉でした。

選手として卓越した経歴を持つGMが、講義の中でオンザピッチについてはもちろん、オフザピッチである経済の側面についてよどみなく語り、また、GMに求められる姿勢について明確な考えを熱く語るその姿は、将来のJクラブの経営を背負うであろう受講者にとって、一つのモデルとして良い刺激になることでしょう。

[ ウリ へーネス氏 略歴 ]
1952年1月5日生まれ。選手としては1970年代、バイエルン ミュンヘン、西ドイツ代表の快足FWとして活躍。FIFAワールドカップ(1974年 西ドイツ大会)、UEFA欧州選手権(1972年)のタイトル獲得や、UEFAチャンピオンズカップ(現 UEFAチャンピオンズリーグ)3連覇(1974~76年)などに貢献。国内でもリーグ戦、カップ戦で頂点を極めた。27歳でバイエルン ミュンヘンのGMに就任。先見の明を持ち、特に放送権契約においてその手腕を発揮し、長年にわたりブンデスリーガの改革の推進力となっている。ドイツ経済界においては、何度も「年間最優秀マネージャー」の表彰を受けている。

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