神戸は3日の明治安田J1第28節・京都戦に敗れて自動降格圏を抜け出すことができなかった。残りシーズンの最も重要なミッションはJ1残留を勝ち取ることだが、チームを前向きにするための最大のスパイスは何よりも勝利。この天皇杯はクラブが目標として掲げるアジアNo.1につながるAFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場権獲得の懸かった大切な大会でもあり、山口 蛍は率直な気持ちを口にする。
「(京都戦の敗戦を受けて)負ければ雰囲気があまり良くない中で、それを変えられるチャンスがすぐに来る。また来年、ACLに挑むには天皇杯しかチャンスがないし、リーグ戦も落とせない試合ばかりだが、天皇杯も勝ちにいきたい思いがある」。
ただ、京都戦から中3日、鹿島との準々決勝を終えれば中2日で名古屋との大事なリーグ戦を控える。山口は「ケガ人とかもいる中でチームとして総力戦になるのは間違いない。こういう厳しい状況の中では、最初から出ている選手はもちろん、途中から出てくる選手が流れを変えることは試合の中でたくさんある。そういう選手が出てくることに期待して、チームとして戦っていけたら」と見据えた。
アンドレス イニエスタや大迫 勇也の状態を含め、ケガ人が戻ってきたそばから別の選手が離脱するなど、吉田 孝行監督の選手起用には難しさも出ている。それでも、ラウンド16の柏戦では直近のリーグ戦から大幅なメンバー変更を行いながらも、主力を投入した相手に勝ち切った。チームに備わる力を存分にぶつけたい鹿島戦となる。
一方、鹿島は8月14日のJ1第25節・福岡戦から岩政 大樹監督体制となり、リーグ戦はそこから1勝2分1敗。4位につけている中、トップ3に食らいついていきたい状況だ。9月3日のリーグ前節・浦和戦は相手のビルドアップをうまく利用しながら主導権を握り、2つのゴールを奪って試合を有利に進めたものの、相手の反撃を受けて2-2のドローで終えている。天皇杯のタイトル獲得に挑む意気込みはもちろん、ここで公式戦4試合ぶりの勝利を収め、10日のリーグ次節・京都戦に良い流れをつなげていきたいところだろう。
神戸と鹿島は今季、リーグ戦で二度対戦済み。直近の対戦はJ1第22節で、吉田監督が率いて公式戦4連勝と好調だった神戸が大迫のゴールなどで優位に試合を進めたが、レネ ヴァイラー前監督が率いた鹿島は終盤に劇的なゴールを挙げて、ドローに持ち込んだ。3月のJ1第4節は、三浦 淳寛元監督が率いた神戸を相手に、まだ来日できていなかったレネ ヴァイラー前監督に代わって指揮を執った岩政コーチの下で鹿島が2-0の勝利を収めた。“吉田ヴィッセル”と“岩政アントラーズ”のマッチアップは初となる。
両者ともに高い位置からのディフェンスを志向しており、それをいかに外して試合の流れをつかむかは大きなポイント。神戸はここ数試合[4-4-2]のシステムで戦い、鹿島は4バックを基本に相手の特徴に応じて中盤から前の並びを変化させている。両者ともに連戦下でメンバー編成は未知とはなるが、目の前の相手に打ち勝つ熱いプレーを見せてくれることに期待したい。
[ 文:小野 慶太 ]
