リーグ後半戦になってどんどん調子を上げてきた福岡が、史上初となる決勝進出を狙っている。川崎Fとの直近の公式戦は3連敗中で、いずれも複数失点。かつて在籍した遠野 大弥に得点を奪われた試合もあり、悔しい思い出が残る。ただ、先述のように夏以降は戦績が安定。そこには守備の充実も挙げられ、[3-4-2-1]に変更後は高い位置からのプレッシャーが効いており、ショートカウンターでチャンスを得ることも多くなっている。
さらには、相手陣内でボールを保持する時間も増えた。遠野は「長谷部さん(長谷部 茂利監督)は新しいサッカーを目指しているのではないかと、見ていて思う」と、指揮官が志向するサッカーの変化を語る。「見ていて楽しい。一人ひとりを生かしたサッカーがいまのサッカーだったのではないかなと思う」。山岸 祐也、紺野 和也、金森 健志といった選手が有機的に絡み、後方からは前 寛之、井手口 陽介が加担していく。空中戦の覇者・ウェリントンの投入時間も見どころの1つになっている。
最終ラインに君臨するのは、主将の奈良 竜樹だ。かつて川崎Fに所属したCBは、慣れ親しんだ等々力で歴史を変える1勝を狙う。
対する川崎Fはリーグ前節・新潟戦を2-3で落としたものの、続くAFCチャンピオンズリーググループI・蔚山戦は1-0で勝利。アグレッシブな攻守が戻り、さらに韓国の強豪による攻撃にも耐えて、89分に主将の橘田 健人がミドルシュートを突き刺した。
その試合後、副将の脇坂 泰斗は「ホームでできるというアドバンテージがあるので、今日のような積極的なゲームをやりたい」と福岡戦を見据えている。川崎Fは新潟戦、蔚山戦、そしてこの福岡戦と、3試合続けて等々力で試合ができるという日程になった。相手とは異なり連戦ではあるものの、それを味方につけたい。
新潟戦、蔚山戦と欠場した家長 昭博の状態は心配されるところ。蔚山戦前日の公開練習時には別メニューで調整していた。福岡戦で復帰してもおかしくはないか。ただ、蔚山戦で右ウイングに入った瀬川 祐輔は非常に良い動きを見せていた。チャンスにも多く絡んでおり、家長が再び欠場となっても大きな心配はいらないだろう。
蔚山戦のように序盤から相手を呑み込むような前線からのプレッシャーを掛けて、相手陣に押し込む展開が理想だろう。ただ、福岡もセーフティーに前線へボールを入れてから激しく守備を仕掛けることも予想される。どちらが主導権を握って進められるか。
両者ともに、このタイトルへ懸ける思いは強い。あと2勝で頂点に立つことができる。選手、スタッフ、そしてファン・サポーターも気持ちのこもったセミファイナルとなる。
[ 文:田中 直希 ]


