神戸は9日に同地で行われた明治安田J1第36節・G大阪戦でドローとなり、リーグ戦の3連覇という夢はついえた。試合後は悲嘆に暮れた深紅だったが、終了間際に佐々木 大樹が挙げた同点ゴールは次につなぐ希望の一撃。オフが明けた12日の公開練習では、天皇杯のタイトル獲得へ前進しようとする姿をサポーターに見せた。
一方、大阪の地に乗り込む広島。1日のルヴァンカッププライムラウンド決勝で柏を破り、3シーズンぶりの優勝を決めると、中2日で迎えたAFCチャンピオンズリーグエリートリーグステージ第4節・江原(韓国)戦で1-0の粘り勝ち。さらに、中4日で迎えたリーグ前節・浦和戦では、3-0と圧勝。好調を持続し、3大会ぶりの天皇杯決勝進出に照準を合わせている状況だ。
神戸の天皇杯の戦いを振り返ると、リーグ戦に先発出場するメンバーから大きく変更しながら臨んできた。初戦となった2回戦こそ高知に4-1と快勝したが、以降は苦難を乗り越える戦いが続いた。
3回戦・甲府戦では、敗色濃厚な90+7分に岩波 拓也が劇的な同点ゴールを決めて、最終的には延長戦でのエリキのゴールで勝ち越し。さらに、東洋大の挑戦を受けたラウンド16も延長にもつれ込み、120+1分に宮代 大聖が決勝ゴールを決めた。続く準々決勝・相模原戦は延長戦でも決着がつかず、PK戦に突入。GK新井 章太のPKストップもあり、試合を制している。苦難続きとは、逆に捉えれば“粘り勝ち”の連続。苦しい時間を全員が共有しながら勝ち進んできたのが天皇杯であり、その思いを次につなげたい準決勝ともなる。
一方の広島も、2回戦はリーグ戦で先発を張るメンバーから大きく替えて臨み、Brew SAGAを3-1で一蹴。3回戦・藤枝戦は直近のリーグ戦から一部入れ替えた中、2-2で迎えた後半に3点を追加する豪快な勝ちっぷりを見せた。清水とのJ1対決となったラウンド16では、佐々木 翔、荒木 隼人、塩谷 司のレギュラー3CBを含めた主力を投入し、3-0で勝利を飾った。名古屋との準々決勝も主力組で臨み、田中 聡の2ゴールなどで48分までに4-0とリード。その後は名古屋の反撃を受けたものの、力強さを示す4-2での快勝を収め、その歩みには力強さがみなぎっている。
ハイプレスを志向し、強度を持ち味とする両者。そのぶつかり合いはタフバトルを避けて通れない。絶えることなく相手ゴールを意識する考え方も近く、攻守ともに動きを作る両者だけに、相手の逆をいかに取るかは戦術的駆け引きとして注目のポイント。さらに、神戸の山川 哲史が「相手のスキを突くか、突かれるかの争いにもなる。集中して臨みたい」と語るように、引き締まった組織力も両チームの持ち味だ。アラートさの“根競べ”ともなるだろう。
神戸は直近の試合でダメージを抱えた主力選手が出ている一方、広島も同様に浦和戦で負傷交代した選手がいるのに加え、荒木 隼人が出場停止。ただ、この一戦に懸けるチームとしてのモチベーションが揺らぐことはない。およそ1週間後の決勝、舞台となる国立競技場へ歩みを進めるべく、西の両雄が熱い火花を散らす。
[ 文:小野 慶太 ]
