J1王者の神戸が確かな強さを見せつけている。磐田との開幕戦でさい先よく勝利を飾ったものの、前々節・柏戦は0-1で敗戦。昨季5回しかなかった黒星が早くもついてしまったが、それを払しょくするパフォーマンスを見せたのが前節・FC東京戦だった。
この試合で吉田 孝行監督は前々節から先発を4人変更。今季初先発の武藤 嘉紀と本多 勇喜がさすがのプレーを披露すると、初先発に抜擢された新加入の宮代 大聖と広瀬 陸斗が大きな仕事をやってのけた。
後半開始早々、FC東京に先制を許したが、57分に大迫 勇也のキープから宮代が攻撃のスイッチを入れる。武藤を経由して広瀬がクロスを送ると、ゴール前で好位置を取った宮代が頭で同点ゴールを挙げた。その宮代は前半にPKを獲得し、後半には大迫が華麗に決めた直接FKを獲得している。ゴールに対する執着心をプレーにこめた点取り屋が、新シーズンの王者が確かな進化を続けていることを証明した。
2勝1敗の4位と上々のスタートを切った神戸だが、それを上回る戦績を残しているのが広島だ。ここまで2勝1分で首位に立ち、7得点1失点と圧倒的な数字を残している。
特に前節は強烈だった。鳥栖をホームに迎えた一戦は立ち上がりから攻守に良いリズムをつかみ、18分に右サイド・中野 就斗への展開で最終ラインを押し下げ、走り込んだ塩谷 司が鮮やかなミドルシュートを叩き込む。31分には再び右サイドに展開し、中野のクロスの流れから川村 拓夢が押し込んだ。後半も主導権を譲ることはなく、ピエロス ソティリウ、中野のゴールで4発快勝。中盤の満田 誠は打開力と正確なパスで攻撃をリードし、広島の代名詞とも呼べる3バックは強力。今季の優勝候補の一角として確かな強さを発揮している。
神戸は攻撃時に[4-3-3]、守備時に[4-4-2]へ可変し、広島は[3-4-2-1]を基本とする。それぞれシステムは異なっているが、スタイルのコンセプトは非常に似通っている。
両者は攻守ともにアグレッシブな姿勢が信条であり、相手ゴールへ直接的に働きかけるようなサッカーを実行する。攻撃では長短のパスで相手陣地に素早くボールを運び、サイドへの展開や縦への鋭いボールで攻略に出る。攻→守の素早い切り替えを徹底して、ボールを回収しては連続攻撃を仕掛けるなど、絶えず相手に圧力を与え続けることがスタイルの原則だ。前線からの激しい守備、攻撃後の帰陣の速さなど、インテンシティーの発揮どころが細部まで浸透していることも共通している。
得点や勝利への意欲をダイレクトに表現する両者によるマッチアップなのだから、興奮しないわけがないだろう。一瞬のスキが命取りとなる高強度のぶつかり合い。ダイナミックなサッカーの魅力に思う存分、浸らせてくれる90分となりそうだ。
[ 文:小野 慶太 ]
