20本のシュートを放ちながら、得点はPKの1点のみ。何度も訪れたチャンスを決め切れずに、最後の決定機もシュートはゴールではなくGKに吸い込まれた。「少し違和感を抱えている部分があった」(リカルド ロドリゲス監督)とキャスパー ユンカーが欠場し、何度もゴール前に飛び込んでいた明本 考浩も前半途中で負傷交代。フィニッシャー不在が響いた印象だ。
しかし好調の9月を支えたのが江坂 任・小泉 佳穂の“ゼロトップコンビ”だったように、東京五輪による中断期間が明けてからの浦和は前線にストライカータイプの選手をあまり起用してこなかった。この試合だけをもって結論づけるのは早計だろう。9番タイプの選手を起用するかどうかに限らず、あらゆる布陣や選手起用にはメリットもデメリットも存在する。ゼロトップで連勝していた時期は、江坂と小泉の守備センスと運動量で相手の組み立てを阻害し、ショートカウンターから得点するシーンが印象深い。キャスパー ユンカーの決定力を使わないこととトレードオフが成立していた。
ただ、それだけではなく、ポゼッションで相手を押し込んだ状態からの得点パターンも複数あった。相手の対策が進んできたこともあり、10月に入ってからは結果が出ていないが、あまり課題を感じ過ぎるのも問題だろう。前節にしても、得点には至らなかったものの、右サイドからゴール前に入っていく関根 貴大の動きは素晴らしいものだったし、本当に紙一重のシーンも多かった。
フォーメーションや選手の組み合わせのようなポイントも重要だが、大事なことは全体だ。チームも、個人も、まだまだ成長する必要がある。個々の技術、立ち位置、立ち位置を取るタイミング、そしてメンタル。G大阪戦に油断はなかっただろうか。いつかは入るだろうという気持ちを持っていなかったか。浦和はまだ再建途上のチームなのだ。
そして迎える柏戦。今節も、順位表では下にいるチームとの対戦となる。現在の勝点差は、次の試合の勝敗を保証するものではない。求められるのは、持っているものを出し尽くすことと、その上でさらに成長を見せることだ。
一方の柏は下位にとどまっているとはいえ、勝点を取るペースが上がってきた。リーグ戦再開以降は勝ち越し中で、J2降格圏との差も着実に開いてきている。内容的にはまだまだ安定していないが、結果が自信を引き寄せつつある状況だ。
そしてこの試合には、古巣戦となる選手が多く存在する。江坂 任と武藤 雄樹がどんなプレーを見せるのか、そして酒井 宏樹が、柏に対してどんな姿を見せるのかにも注目だ。
[ 文:沖永 雄一郎 ]
