福岡が昨季、4年でJ2からJ1へ昇格、1年でJ2に降格するという5年周期のイヤなジンクスをようやく破ったのに対して、鳥栖は2012年からJ1での戦いを続けている。しかし、昨季のJ1においては福岡が1勝1分の成績を収めて……と、隣県チームであることに加えて両チームのサポーターが熱くなる材料が複数そろう一戦だ。
長谷部 茂利監督が指揮を執って3年目となる福岡は、前節のG大阪戦でようやく今季リーグ戦初勝利を挙げた。しかし、攻守の質が昨季よりも向上していることは、見た目の印象だけではなく、シュート数、チャンス数、高い位置でボールを奪う回数など現実的な数値からもうかがえる。
一方、川井 健太新監督を迎えた鳥栖は5戦を終えて “わずか1勝”という現実からすれば苦しいスタートと言えるのかもしれないが、昨季の主軸の多くを引き抜かれながら名古屋、横浜FMといった優勝候補との2試合を含めて4引き分け。“いまだ負けなし”というポジティブにとれる現実的側面もある。
昨季の明治安田J1第30節はホームの福岡が3-0の快勝を収めた。鳥栖からすればこの結果は今回の大きな発奮材料となりそうだが、福岡はどうか。鳥栖が古巣となる宮 大樹は「個人的には昨季のゲームの結果は今回に影響しない」と言い、長谷部監督も昨季のホームゲームの映像を今回の準備期間に「選手に見せる予定はいまのところない」とあえて切り離して考えようとしている印象だ。
長谷部監督は今季の鳥栖について、「選手が替わっても、リスクを冒してでも攻撃的に戦うという姿勢が素晴らしいチーム」と話し、「そういう良さにやられないようにしたい」と鳥栖の攻撃力を警戒している様子だ。G大阪戦で3ゴール、今季初の複数得点を挙げ、今季のチームテーマの1つである攻撃力アップへの手ごたえを感じた中で今節を迎えるが、まずは守備を意識した試合への入りになるということだろうか。宮と同様に古巣戦となる金森 健志は「鳥栖さんのストロングポイントでもある球際の争いは熱くなると思うので、そこで負けないこと」と言う。
ほかにポイントはあるだろうか。昨季の第30節では福岡が鳥栖のビルドアップを含めた攻撃の流動性、柔軟性にうまく対応したことで快勝へつなげた。鳥栖は今季無敗の中、川井監督は雨中のゲームとなった前節・横浜FM戦を含めて「いろいろなイレギュラーがある中、そこに対応できている」と話している。つまり、相手の出方に的確に応じ、上回り、ゲームの主導権を握る。その対応力が勝負を分けるカギになるかもしれない。いまは中位にいるが好チーム同士の戦いは、深いところにも面白さが潜むゲームになるのではないだろうか。
[ 文:島田 徹 ]


