FC東京は試行錯誤を繰り返しながらも、ここまで実りの多いシーズンを送っている。3連戦の初戦となったアウェイでの前々節・横浜FM戦は敗れたが、ホームに戻ってきた前節・神戸戦は3-1で勝利。横浜FM戦と同じくゲームへの入りが悪く、またしてもその流れのまま先制点を許してしまう課題は残っているが、そこから立て直し、ゲームをコントロールする力はさすが。後半に入り、アダイウトン、森重 真人、ディエゴ オリヴェイラと役者が決め、今季最多の3得点で初の逆転勝ち。リーグ戦を戦っていく上で重要となる“連敗しないこと”を達成し、4勝目を飾った。
一方の浦和は、前々節にアウェイで札幌と引き分け、前節はホームに戻ってきて清水と対戦。主導権を握り、前半のうちに江坂 任のPKで先制するところまでは良かったが、後半早々に伊藤 敦樹が2枚目のイエローカードをもらい退場。数的不利を強いられてからは清水に押し込まれる時間が増えていき、CKから追いつかれ、ホームで勝点2を失う形となった。
6試合を終えて4勝2敗で5位につけているFC東京と、9試合を終えて2勝3分4敗で8位に位置する浦和を比べれば、FC東京のほうが状態は良さそうであるが、スペイン国籍の監督が指揮を執るチーム同士の対決とあって、白熱の展開となりそうだ。
今季からアルベル監督が就任したFC東京は“ボールを愛する攻撃的なサッカー”をスタイルに掲げながらも、ここまでの試合を見る限り、まずは勝つことにこだわり、そのためには理想に溺れることなく現実的な選択も織り交ぜ、順調に勝点を積み上げることができている。ハイプレスからのショートカウンターや前線に並ぶ強烈なアタッカー陣の個の力を生かした攻撃からゴールを陥れる場面は多く、勝ちながら成長していく良いサイクルの中でチームは歩みを進められている。
反対にクラブとしては『3年計画』の3年目を迎え、リカルド ロドリゲス監督が率いて2シーズン目となる浦和は、少しの苦戦を強いられているようにも映る。今季の目標をリーグ優勝と公言していることを考えれば、スタートダッシュに成功したとは言い難く、取れたはずの勝点を取りこぼしている印象がある。開幕直後からの過密日程や、入れ代わり立ち代わりでケガ人が出てしまっていることもあるが、本気で頂点を目指すならば、これ以上のつまずきは許されないだろう。まずは“借金”を早く返したい。
似た者同士の激突で“ポジショナルの奪い合い”になりそうな90分を制するのはどちらか。“アルベル・トーキョー”がホームで連勝をつかみ四強に食い込むのか。“リカルド・レッズ”がAFCチャンピオンズリーグ前の最後のリーグ戦でアウェイでの今季初勝利を飾り、はずみをつけるのか。いまから熱戦が待ち遠しい。
[ 文:須賀 大輔 ]
