神戸の前節は、タイで集中開催されたAFCチャンピオンズリーググループステージを戦ったあとのファーストゲーム。タイでは4月に就任したロティーナ新監督の下、新たな戦術や考え方の落とし込みを進めるとともに、“アジアNo.1”という大望をかなえるためにグループステージを確実に突破する最良の結果を出した。成長と結果の2兎を追う神戸の戦いは、1つの明確な成果を上げ、リーグ戦の巻き返しへ良い機運を作ったと言える。
ただ、前節のG大阪戦は厳しい結果となった。序盤からやや押され気味だったが好機を見いだすシーンもあり、アウェイのピッチで躍動感も見せていた神戸。ところが前半のうちに1人退場者を出す苦しい展開に陥る。それでも後半、しばらくコンディション調整を続けていたアンドレス イニエスタが投入されると、決定的なチャンスを演出するなど確かな勝機を見いだした。だが、最終的には終盤に2つのゴールを許し、リーグ戦は4連敗。開幕未勝利は11試合に伸びてしまった。
それでもチームとしての戦うメンタリティーはなお育まれている。G大阪戦の翌日には、今季初となる公開練習が実施され、60名ほどのサポーターが練習場に駆けつけた。控え組中心のトレーニングとはなったが、負傷離脱していた小田 裕太郎らも含めて活発なプレーを見せるなど、出場機会の獲得やチームを救うヒーローへの野心などがワンプレーに込められていたのが印象的だった。今節はアンドレス イニエスタの先発復帰なども視野に入っている状況。“ロティーナ戦術”の落とし込みが続く中で、G大阪戦からさらに成長した姿をホームのピッチで示せるか。ここから始まる連戦にはずみをつける勝利を得たいところだ。
一方、好気配を見せているのが鳥栖。前節はアウェイでFC東京と対戦したが、堀米 勇輝が直接FKを沈めて1-0で勝利。4試合負けなしで順位を5位まで上げてきた。
今季の鳥栖はここまで1敗と大崩れしていない。J1屈指の機動力や統率された守備戦術はブレを見せず、ポゼッションの技巧も昨季と変わらず特筆されるべきもの。川井監督の下、開幕からリーグ戦は3バックシステムでスタートしてきたが、前節は小泉 慶をアンカーに据え、最前線の小野 裕二が相手のアンカーを消す4バックシステムを披露している。対FC東京用のシステムと考えられるが、ロティーナ監督の戦術に対しても何かしらのアクションを起こす可能性は十分だろう。
また、試合前にはノエビアスタジアム神戸芝生広場の特設ステージに“サンバ隊”が登場し、アグレッシブなダンスを披露するイベントも用意されている。ポジティブなメンタリティーをピッチで存分に発揮した側に、カーニバルの興奮を独占する権利がもたらされそうだ。
[ 文:小野 慶太 ]
