2位につける川崎Fとの勝点差は『2』。勝利すれば文句なし、引き分けでも得失点差で大きくリードしている関係上、優勝を手繰り寄せる可能性が高い横浜FM。ただ、もしも勝点を奪えず、川崎Fが勝利した場合は順位をひっくり返されることになる。勝つことで自ら優勝を決めることができるのは確かだが、極めて難解な壁が最後の最後にやってきたと言えるだろう。
対峙する神戸は明らかに覚醒を遂げている。開幕以来、勝星に見放され、監督交代を経ながらJ1残留に力を注いできたが、9月の第26節・FC東京戦を皮切りに怒とうの連勝街道に突入。残留争いのライバルや上位チームを打ち破り、一気に残留を確定させた。
負傷離脱から復帰した大迫 勇也をはじめ、吉田監督の抜擢に応えた小林 祐希、さらに武藤 嘉紀、酒井 高徳、山口 蛍ら豊富なキャリアを持つ選手たちを中心に、中堅・若手のコンビネーションは著しく活性化。地道に前進を図ってきた中で、アグレッシブなスタイルを根底に据えた明確な戦い方を手中に収めている。前節は川崎Fの執念に屈して連勝こそストップしたものの、アンドレス イニエスタが負傷離脱から復帰し、Jデビュー戦だったGK坪井 湧也が好パフォーマンスを見せるなど好材料は豊富だ。
本拠地・ノエビアスタジアム神戸は現在、目覚めたタレント軍団の熱量を一層高めるパワースポットと化し、4連勝中と無類の強さを発揮している。今季は結果が出ないもどかしさの中で、サポーターの熱量とぶつかり合うこともあったが、「ブーイングは当たり前のこと」と話す指揮官は率直な思いを口にする。「それが選手や自分の気持ちを高ぶらせてくれる。『次、やってやるよ』という気持ちにさせてくれる。勝ったときは一緒に喜んでもらえたり、一緒に戦っている存在」。神戸には勝つための大きな理由がある。
敵地に乗り込む横浜FMは、ホーム最終戦となった前節・浦和戦で圧巻のゲームを披露した。エウベルとアンデルソン ロペスのゴールで前半を折り返し、相手にペースを与えることなく再び2人が得点を奪い、最終的に4-1。2連敗と足踏みを続けていたものの、まさに完勝で3試合ぶりの勝点3をつかみ取っている。
試合後のセレモニーでは、主将を務める喜田 拓也が「皆さんを正真正銘の日本一にする」とサポーターに宣言した。優勝へ向けてケヴィン マスカット監督、選手、サポーター、クラブに関わるすべての人たちのモチベーションは最高潮を迎えている。難敵が相手といえども、強い一体感で3年ぶりの戴冠へ突き進むことになる。
[ 文:小野 慶太 ]
