野津田が初めてEスタで得点を決めたのはルーキーイヤーの2013年だ。J1第12節・甲府戦のゴールはいまもよく覚えているという。「あの試合は最初に失点したんですけど、(佐藤)寿人さんのハットトリックもあって逆転して、最後に僕が(髙萩)洋次郎くんからパスをもらって決めました。すごくうれしかったですね。やっと来たなって思いました」。
それ以上の喜びがあったのが、そのシーズンの第28節・清水戦のゴール。「自分のゴールで初めてチームを勝利に導けましたし、優勝争いをしている中での大事なゴールになったこともうれしかった。やっと自分がチームを勝たせられたと思えた試合でしたし、あの試合は忘れられないです」(野津田)。
あれから10年の月日が経ち、前々節・神戸戦で家族とともにJ1通算200試合出場のセレモニーを行った野津田は、Eスタでの日々を「自分が苦しい時期はEスタでプレーするのがイヤだなと思ったことも正直あります」と振り返るが、「Eスタで結果を残せたときは格段の喜びがあった」とも言う。何よりも印象深かった出来事はサポーターが歌ってくれるチャントだったと話した。
「7番をつけさせてもらって戻ってきて、僕のチャントが(森﨑)浩司さんのチャントになったときは、もう本当にめちゃくちゃうれしかった。いまでもEスタでチャントを聞くとうれしい気持ちになって、アップ中にしみじみと『小さい頃に夢見てきたスタジアムでプレーできているんだな~』ってエモい気持ちになっています」 野津田は満ちた顔をしていたが、今節の名古屋戦に話が移ると引き締まった表情で語った。
「昨年の名古屋戦は自分が直接FKを決めて勝てた。あの試合も自分にとっても忘れられない試合の1つですけど、今年はまったく別物。今年は勝てていない相手になるので難しい試合になることは間違いないですけど、絶対に勝ちたいなと思います」。
JリーグYBCルヴァンカップを含めた今季の対戦成績は名古屋の3戦全勝。広島としてはなんとか意地を見せたいところで、夏に広島から名古屋へ移籍した森島 司がどんなプレーを見せるのかにも注目が集まる。互いに上位に踏みとどまるためにも勝ちたい今節は、最初から最後まで目の離せない攻防が繰り広げられるに違いない。
“オリジナル10”としてJリーグの歴史を刻んできた広島と名古屋はEスタで25試合を戦って、広島の11勝6分8敗。最初の対戦は1994年のサントリーシリーズ開幕戦で、87分に盧 廷潤が得点を挙げると、89分に高木 琢也が追加点を奪って、広島が2-0で勝利している。今節はどんなドラマが起こるのだろうか。
[ 文:寺田 弘幸 ]