ここまで19勝8分5敗で勝点65を獲得し、首位に立つ神戸。得点数57はリーグ2位、失点数28は広島と並んで2番目に少ない。得失点差+29はリーグ1位であり、いずれも堂々たる数字を残している。
開幕戦で福岡から粘り強く勝点3を奪った神戸はその後、1位の座に長く居を構えてきた。圧倒的な強度でJ1を席巻し、実力のある選手がチームのために戦い、走る姿は多くのサッカーファンのハートもつかんできた。
明治安田J1第17節から順位を3位に落としたが、それでも上位に食らいついて再浮上。上位争いの主役を担ってきたと言っていい。終盤戦は上位直接対決や残留争いの真っただ中にあるチームとの難しい試合ばかりだったが、深紅のイレブンは心を1つに前進することをやめなかった。
3位・浦和と戦った前節も、一筋縄ではいかない展開だった。「我慢強く、というのはとても大切だった」と吉田 孝行監督が振り返ったように、好守のぶつかり合いとなった中、こじ開けたのは「ウチのストロング」と指揮官が自賛したクロスだ。
マテウス トゥーレルのゴールにつながるクロスを上げたのは、右SBで先発していた初瀬 亮。「点に絡めたのは良かった」と19番は殊勝に言葉を残したが、チームの強みを押し出し、多くの選手が関わりながら、浦和の堅守を崩してみせた。ダイナミックに喜んでいいチームとしての成果だった。
ここ2戦欠場しているチームリーダー・山口 蛍の出場は依然として不透明だ。長いシーズンを戦ってきた中で、多くの選手が何かしらのダメージを抱えるなど満身創痍。それでも、武藤 嘉紀は奮起を誓う。それはチームの総意だった。
「みんながここまで一丸となって戦ってきたからこそ、いまこの状況にいると思っている。シーズン半ばもいろいろな大変なことがあったけど、みんなで乗り越えてここまで来た。最後は笑って終われるようにベストを尽くしたい」 一方の5位・名古屋は第26節まで3位をキープし、首位奪取をうかがう位置につけていたものの、直近5試合は1勝2分2敗。やや停滞している状況にあるが、だからこそ反骨のスピリットを押し出し、ファン・サポーターの期待感を高められるかは重要なこと。それを示す舞台が首位・神戸戦となれば、燃えないプレーヤーはいないだろう。元来、実力を持った優勝を狙えるチームであり、神戸とのリーグ戦での前回対戦は2点のビハインドを土壇場で追いつく劇的な試合を演じている。最後まで戦い抜き、駆けつけるファンに至福の時間を届けたいところだ。
試合当日は気温が大きく下がることが予想されているが、寒さを吹き飛ばすような熱気がスタジアムを包むことは確実。神戸がリーグ初制覇、あるいはさらなる前進を遂げるのか、名古屋が大きな壁として立ちはだかるのか。今季最大級の注目がノエビアスタジアム神戸に集まることになる。
[ 文:小野 慶太 ]
