2018年に加入してから7シーズン、名古屋のゴールを守り続けたランゲラック。キャリアや家庭の事情を考慮して今季限りで退団し、来季より母国・オーストラリアのメルボルン・ビクトリーFCへ完全移籍することが発表されている。今節はランゲラックにとって、“トヨスタ”でプレーする最後の試合となる。
「この7年間、素晴らしい経験が多くあり、忘れられない人生の1ページになりました。自分のキャリアにおいて、これだけ長く所属したクラブはなかったですし、それだけの愛情をもらい、そして愛着が湧くクラブでプレーできたことをうれしく思っています」(ランゲラック) 名古屋の揺るぎない守護神は、記憶にも記録にも残るプレーを連発してきた。出場試合数はストイコビッチ氏を抜き、クラブの外国籍選手史上最多となる237試合。フルタイム出場した2021シーズンには9試合連続無失点、823分間連続無失点というリーグ新記録を打ち立て、1シーズン21試合のクリーンシートはJ1の最多記録となっている。
現在、名古屋は9位と優勝争いにも残留争いにも関わらない順位だが、チーム内には「ミッチ(ランゲラック)を良い形で送り出したい」という気運が高まっており、モチベーションは低くない。加えて、13日にはJリーグYBCルヴァンカッププライムラウンド決勝進出を決めたばかり。今季唯一残っているタイトル獲得に向けても、良いリズムを保ったまま今節は充実した内容と結果を示したいところだ。
注目はもちろんランゲラックだが、心配なのはディフェンスラインだ。ルヴァンカップ準決勝第2戦・横浜FM戦で左CBを務めた河面 旺成が筋肉系のトラブルで26分に途中交代。その後は右ウイングバックを務めていた野上 結貴がそこに入ったが、少しバランスを崩してしまって失点につながった。今節はそのポジションを誰が務め、どう改善していくのか。全体としての守備のやり方や意識に変化はないだろうが、できればランゲラックがスーパーセーブを見せる前にディフェンスラインで相手の攻撃を防ぎたい。
対する札幌は、残留圏の17位との勝点差は『9』。残り5試合で土俵際まで追い詰められている状況だ。逆転で残留を果たすためには、残り試合を全勝する覚悟が必要だ。
ただ、前節・G大阪戦はまさに痛恨の逆転負けを喫してしまった。開始8分、今夏に加入した白井 陽斗が古巣相手にJ1初ゴールを決めたのは良かったが、終盤になるにつれて受け身になり、90+4分にはPKから失点。終了間際の90+8分に決勝点を叩き込まれて、あっという間に勝点3が『ゼロ』になってしまった。明治安田J1第31節では上位の町田と引き分け、前々節では残留を争う京都に勝利し、雰囲気も盛り上がっていただけに、本当に歯がゆい敗戦となってしまったが、過去を変えることはできない。
今節の注目は誰か1人ではなく、チーム全員。90分間、試合終了のホイッスルが鳴るまでチームのために戦うことができるかがカギになる。
どちらのチームにとっても思いの詰まった終盤戦。気持ちで上回るのは名古屋か、札幌か。そう遠くはない未来につながる重要な一戦である。
[ 文:斎藤 孝一 ]
