FC東京は前節、アウェイで名古屋と対戦し、1-1の引き分け。過密日程の中で迎えた公式戦3連戦目に加え、出場停止で3選手を欠く厳しい陣容だったが、粘り強く勝点1を持ち帰った。
そんな中、悔しさをにじませる男がいる。佐藤 恵允だ。名古屋戦では73分から途中出場し、90+4分に決定的なチャンスを迎えたものの、ボールをミートできず、ヒーローになれなかった。ただし、“東京ダービー”に向けての期待は高い。前回のダービーでは、高 宇洋の絶妙なスルーパスに反応して冷静にネットを揺らしている。
その佐藤 恵允は、今節に向けて気合い十分だ。
「ダービーの雰囲気はすごく好きだし、もう1回決めますよ。次は2点。ヴェルディだけには負けられない。ここでいったんけりをつけて、勝てば絶対に勢いに乗れると思う。その中で点を決めて、自分もまた波に乗りたい」 また、FC東京のアカデミー出身で、ダービーの空気を肌で感じて育ってきたバングーナガンデ 佳史扶も強い覚悟を口にする。
「アカデミーに入ったときから、“東京ダービー”はほかの試合とは一味違う負けられない試合だと感じてきました。そういう中で育ってきたので、負けたくない気持ちは人一倍強いと思います」 一方の東京Vは前節・横浜FC戦を0-0で終えた。スコアこそ動かなかったが、城福 浩監督は試合後に守備面での手ごたえを語っている。「相手に決定機を与えず、われわれも決定機を与えてもらえなかった中で、守備的に戦ったわけではありませんが、両ゴール前での集中力が高く、決定機を与えない戦いができました。セットプレーでも集中力を持続できたことは、いまのこのチームにとって非常に大きな経験となりました。相手に勝点3を渡さずに終えたことは非常に大きなことだと思います」。
ただし、得点力不足は依然として深刻だ。ここまでの得点数はわずか『16』で、リーグワースト。守備の安定だけでは勝点3に届かないのが現状であり、この中断期間中に復帰組や新戦力の台頭が求められる。
注目は、昨季のJ1で6得点を記録した染野 唯月。今季はここまで2ゴールにとどまっているが、昨季・今季ともに“東京ダービー”で得点を挙げているだけに、かかる期待は大きい。前線での起点となるプレーに加え、ゴールという結果が求められる。
また、平川 怜にとっては古巣対戦となり、並々ならぬ思いを抱いて臨むはずだ。中盤でのプレッシングやビルドアップで存在感を示し、チームに推進力をもたらしたい。
この一戦は両者にとってただの1試合ではない。勝つのは“青赤”か、それとも“緑”か。プライドを懸けた戦いが幕を開ける。
[ 文:匂坂 俊之 ]
