「この最終戦を迎える前から、残り2戦をしっかり勝って(優勝を決める)という話を1カ月くらい前からしている。この間、1つしっかり勝って、自力優勝ができる状態で最終節を迎えられたことが一番良かったことですし、あとはそれを最後に結果で示すだけだと思っています。やるべきことは変わらないですし、とにかく後悔のないように最善の準備をしたい」(鬼木 達監督) ここまでブレることなく、チーム作りも試合運びも、勝ちから逆算して考えてきた。7月に行われた第23節で川崎Fに完敗してからその姿勢をより徹底し、以降の14試合は9勝5分と負けていない。その姿勢は、最後の一戦を迎えるにあたっても変わらない。
一方の横浜FMは、長く最下位に沈む苦しいシーズンを過ごしたが、監督交代や夏の補強で戦力を再整備したことで14位まで持ち直すことに成功した。すでにJ1残留を確定させただけでなく、目下4連勝中と波に乗っている。さらに、その4試合すべてで3得点以上を挙げるなど絶好調であり、鹿島に対して最後の壁となって立ちはだかることだろう。
今季前半戦での対戦は、横浜FMが最も苦しんだ時期での対戦だった。泥沼の7連敗中という状況で首位に立つ鹿島との対戦となったこの一戦、4分に永戸 勝也が先制点を奪うと、ヤン マテウスが13分、27分と立て続けに素晴らしいゴールを奪い、一気に試合を決めてしまった。横浜FMにすれば大きな勝利だったが、その後も苦労しながら歩みを続け、いまの形に落ち着いた。そのため、前回対戦時とは前線の構成も最終ラインの顔ぶれも、大きくメンバーが替わっている。FWには谷村 海那やジョルディ クルークスらが加わっており、CBは角田 涼太朗とジェイソン キニョーネスがコンビを組む(前節・C大阪戦はジェイソン キニョーネスが出場停止で欠場)。前回対戦とはまったく違うチームと思ったほうがいいのかもしれない。
鹿島の選手たちも相手の力を認めていた。
「もともと実力があるチーム。難しい試合になるだろうし、アウェイでやったときは負けているので、その借りも返さなければいけないと思います」 そう意気込んだのは植田 直通だ。厳しい試合になったとしても、無失点に抑えることで勝機をうかがってきた。その際、率先して体を張ってゴールを守ってきたのが植田 直通。その姿勢はこの試合でも変わらない。
試合が行われるのは、鹿島の本拠地であるメルカリスタジアムだ。8年間、タイトルから遠ざかってきただけに、当日は多くの鹿島サポーターがチームを後押しすることが予想される。
「ここまで、本当に自分たちの力になるようなサポートをしていただいていると思いますし、これだけ待たせてしまっているのもある。しっかり自分たちとともに戦っていただいて、一緒にタイトルを獲りたいと思いますし、最後まで全員で、目の前の勝利のために戦っていければと思います」(植田 直通) 2017年、鹿島は最終節で勝ち切ることができずにタイトルを逃している。そのとき逆転優勝を決めたのが、鬼木 達監督率いる川崎Fだった。今季は鹿島を率いてタイトル獲得に迫っている鬼木 達監督は「自分たちで勝利をつかみ取る」と、変わらぬ姿勢を求めていた。
[ 文:田中 滋 ]

