昨季は千葉が2戦2勝。J2を制覇したとはいえ、水戸にとって千葉にシーズンダブルを喫した悔しさはいまだに色濃く残っている。特に昇格争い佳境で迎えた明治安田J2第33節の対戦では、水戸が勝利すればJ1昇格が大きく近づくという状況だったものの、0-0で迎えたラストプレーでCKの流れからゴールを決められるというショッキングな敗戦を喫してしまった。カテゴリーが変わったとはいえ、そのリベンジを果たすべき一戦である。「昨年、2試合負けていますから、絶対に勝たないといけない相手だと思っています。自分たちのほうがより早くJ1に適応しているし、上だということを示す試合だと思うので、絶対に勝ちたい」と西川 幸之介は闘志を燃やす。
クラブ史上初のトップリーグに参戦している水戸。J1百年構想EASTグループ地域リーグラウンド開幕戦ではそのレベルの高さに圧倒された。東京Vのプレー強度の高さに屈し、「自分たちの良さを出し切れなかった」(飯田 貴敬)。開始8分に東京Vの圧力に屈してオウンゴールで先制点を許すと、21分にはサイドを崩されて追加点を与えてしまった。さらに後半開始早々にも自陣でのミスから失点。その後1点を返したものの、“J1基準”の高さに打ちのめされての完敗となった。
そこから前節・町田戦に向けて、「選手たちが肌で感じたことを今週の練習でしっかり理解して取り組んでくれました」と樹森 大介監督が振り返るように、日々のトレーニングから“J1基準”のプレー強度を意識して取り組んだ。そして町田戦では序盤から攻守において相手を圧倒。強度の高いプレスでボール奪取を繰り返しながら、連動した攻撃でゴールに迫った。39分にCKの流れから失点を喫したものの、42分に飯田 貴敬のクロスを2列目からゴール前に飛び込んだ仙波 大志が合わせて同点に追いつくと、その2分後には流動的な攻撃で町田の守備組織を崩し、最後は加藤 千尋からの折り返しを鳥海 芳樹が合わせて逆転に成功した。
しかし、前半アディショナルタイムに再びCKから失点。後半も水戸が押し気味に試合を進めたが、決定機を決め切ることができずに90分間の戦いは終了。その後のPK戦で敗れて、J1百年構想リーグ初勝利を逃してしまった。悔しい敗戦となったが、試合内容は開幕戦と比べて飛躍的に向上。選手たちが躍動したことは大きな自信となったに違いない。
同時に、樹森 大介監督は「勝たないといけない試合だった」と唇をかみ締め、「この内容で勝ち切れないとなると、今後厳しい戦いが続いていく」と危機感をあらわにした。“良い試合”で満足するわけにはいかない。より結果に固執するメンタリティーを選手たちに求めた。初めて水戸市でトップリーグの試合が開催される歴史的な一戦。勝利だけを求めて試合に挑む。
千葉も水戸と似た状況で迎える一戦だ。開幕戦では浦和に力の差を見せつけられて、0-2の完敗を喫した。しかし、前節・川崎F戦では怒とうのプレッシングで川崎Fのビルドアップを封じ込めて、ボール奪取を繰り返しながら勢いよくゴールに襲いかかった。90分で22本のシュートを放ち、多くの決定機を作った。しかし、相手の粘り強い守備に阻まれ、さらにゴール前での精度を欠き、ゴールネットを揺らせないまま後半が終了。PK戦の末、8-9で敗戦を喫して、今季初勝利はお預けとなった。
勝利を手にすることはできなかった。それでも、内容には手ごたえを感じることができた。あとは結果につなげるのみ。水戸同様、勝利だけを求めて今節に臨むこととなる。
注目は今季大宮から千葉に移籍した津久井 匠海。昨季途中まで在籍した古巣・水戸を相手に燃えていることだろう。水戸としては、サイド攻撃は千葉の強みであり、津久井 匠海を封じることが今節の勝負のカギを握ることとなる。
[ 文:佐藤 拓也 ]