1993年に開幕したJリーグ。名古屋は“オリジナル10”の一員として、瑞穂公園陸上競技場(のちのパロマ瑞穂スタジアム)を本拠地に戦い続けてきた。2001年には豊田市に球技専用の豊田スタジアムが誕生し、以降は両スタジアムを併用してきたが、サポーターにとって“聖地”と呼ぶにふさわしいのは、やはり瑞穂だ。その思い入れの深さは、クラブの歴史とともに積み重ねられてきた時間の証でもある。
「間違いなく名古屋の歴史の1ページとなる試合。絶対に負けられない」。多くの選手が今節の意義をそう語る一方で、「それでもリーグ戦の1つ。いつもどおりに戦いたい」と、過度な意識を戒める声もある。名古屋アカデミー出身で、旧瑞穂でのプレー経験を持つ藤井 陽也も、「新スタジアムは純粋に楽しみだが、まずは目の前の試合に勝つことだけを考えている」と冷静だ。相手は前回対戦で5-1と快勝した福岡だが、「連勝中で勢いがある。前回と同じ相手だと思ってはいけない」と警戒を強める。
WESTグループの首位争いは神戸が一歩リードしているものの、残る9チームは混戦状態。1勝で順位が大きく入れ替わる状況だけに、1試合の重みは増している。上位進出のためにも連敗は避けたい名古屋にとって、この一戦は重要な意味を持つ。慎重さと大胆さの両方を持ちながら勝点3を手繰り寄せたい。
そして、新スタジアムの“第1号ゴール”の行方も注目される。得点ランキングトップタイと絶好調の山岸 祐也、圧倒的なフィジカルでゴールに迫る木村 勇大、そして昨季チーム得点王のボランチ・稲垣 祥と、名古屋は多彩な得点源を擁する。流れをつかめば一気に畳みかける攻撃力も魅力であり、どこからでもゴールが生まれる可能性があるだけに予想は難しいが、もちろん福岡の選手がその栄誉を手にする可能性も十分にある。
福岡にとってカギを握るのは先制点。前回対戦では序盤の失点から流れをつかめず、前半だけで3失点。苦しい展開になってしまったが、終盤に数的不利の中で意地の1点を返したことは収穫となった。その経験は、今回に向けた確かな手ごたえにもなっているはずだ。ポジティブなイメージと自信を持って臨むことが、勝利への近道となる。
[ 文:斎藤 孝一 ]
