とはいえ、圧倒的優位な立場にあるのが神戸だ。第1戦では、本来のインテンシティーの高いスタイルへと原点回帰。前線からの激しいプレスと、素早い切り替えから繰り出される攻撃が機能し、鹿島を圧倒した。前半、大迫 勇也の直接FKで先制すると、ハーフタイムでネジを巻き直した鹿島に対して後半、4点を重ねて終始試合を支配した。ミヒャエル スキッベ監督は「シーズン最初にみんなが出してくれていたパフォーマンスをもう1回出してくれたことに対して、幸せに思っています」と喜んだ。
第2戦でも神戸がとる姿勢に変わりはないだろう。大差に甘んじることなく、引き続きアグレッシブに戦うこと。1点でも奪えば鹿島をさらに苦しい立場に追い詰めることができる。アウェイの雰囲気に呑まれることなく、着々と任務を遂行できれば、おのずと栄冠を手にできるだろう。
一方で、鹿島は奇跡の逆転劇を狙う。第1戦の大敗について、鬼木 達監督は「基本的には全部自分の責任だと思っている」とすべてを背負う。その上で「自分自身もあきらめるつもりはない。とにかくひっくり返すための、やるべきことをみんなでやろう」とチームを鼓舞。逆転へのビジョンを冷静に見据える。
そのミッションを遂行する上でカギを握るのが、絶対的なエースであるレオ セアラだ。昨季のJ1に続き、J1百年構想地域リーグラウンドにおいてEASTグループの得点王にもなったストライカーは、第1戦を「残念ながら僕たちは良い日ではなく、物事がうまくいきませんでした」と振り返りつつ、「チャンスがある限り、最後まで戦わなければならないと思います」と強気な姿勢と冷静さを同時に持ち合わせてピッチに向かおうとしている。
鹿島にすれば限りなく困難な状況だが、早い時間帯で1点でも奪うことができれば、ホームで戦う利点を最大限に生かすことができるだろう。今大会のメルカリスタジアムでの戦績は、9試合を戦って8勝1PK勝利となっている。
誇りを懸けてすべてを投げ打つ鹿島と、スキを見せずに王座をつかみ取ろうとする神戸。互いの思惑と意地が交錯する中で、栄冠に輝くのはどちらのチームか。歴史に残る90分間が、いま始まろうとしている。
[ 文:田中 滋 ]

