福岡は新潟、柏、鹿島が同居するJリーグYBCルヴァンカップDグループを戦った。負傷者が重なる中で、在籍19年目の城後 寿がここ数年の定位置だったFWだけではなく、サイドハーフ、ボランチ、シャドーと複数のポジションで奮闘。また、トップチーム唯一の『U-21枠』の森山 公弥がDグループ第1節・新潟戦で負傷し、手術で戦線を離脱すると、森山のアカデミーの後輩である、当時16歳でトップチームデビューとなった前田 一翔、西村 活輝を起用した。まさに総力戦で臨み、グループステージのラスト3試合で3連勝を達成し、4勝1分1敗の首位で突破を決めた。
一方の浦和は湘南、清水、川崎FとBグループを戦い、首位で3年連続のプライムステージ進出。しかし、苦しい戦いだった。開幕から4試合連続で引き分け、4月末と5月にはAFCチャンピオンズリーグの決勝2試合、6月には天皇杯2回戦も入る過密日程で選手のコンディション調整も難しい状況に。しかし、Bグループ第5節・川崎F戦で先制を許しながら51分にホセ カンテのゴールで追いつくと、終了間際のオウンゴールで勝ち越し。グループステージ初勝利、そして唯一の勝利となったこの一戦が象徴するように、非常に粘り強い戦いで無敗での突破を決めた。
続くプライムステージでは、福岡はFC東京との準々決勝第1戦を0-1で落とすが、第2戦で山岸 祐也と小田 逸稀のゴールによって2-0の勝利を収め、2年連続でベスト4の切符をゲット。名古屋との準決勝もその勢いのまま、2戦とも1-0で勝って、クラブとして初めてカップ戦での決勝進出を決めた。
浦和はG大阪との準々決勝を1-0、3-0で勝ち抜いた。横浜FMとの準決勝第1戦を0-1で落とすが、第2戦はアレクサンダー ショルツがPKで2ゴールを決めて、見事に決勝へコマを進めた。
両者ともに堅い守備がチームカラーだが、今大会においてもそれは変わらず、ここまでの10試合で浦和は5失点、福岡は7失点と、特徴が表れる戦いぶり。そして、直近のリーグ戦3試合での同カードはすべて引き分けに終わっている。うち2試合はスコアレスドローと、似通ったカラーであるがゆえに、いずれも堅い試合となっている。
福岡の長谷部 茂利監督が「1点差勝負になるだろう」と言うように、1点をめぐる局面でのバトルは激しく、スキを作らず、相手のスキを逃すまいと高い集中力を保つ緊迫した空気の中で試合は進んでいくと予想できる。そういう展開の中で互いの堅守を破る瞬間が、どのタイミングで、またどういう形で訪れるのか。観る側にとっても“脇汗グッショリ”の緊張が続く見ごたえのあるゲームになることは間違いない。
ルヴァンカップを含め、カップ戦で多くのタイトルを獲得してきた浦和はカップ戦での戦い方、勝ち方を熟知していることが大きな武器。一方で福岡はそういった意味での経験値は乏しいが、待望の初タイトルに向けたクラブ全体の熱意と、ここまで勝ち上がってきたチームとしての勢いがある。聖地・国立競技場で歓喜するのは、福岡か、浦和か。
[ 文:島田 徹 ]


