J1で連覇を達成し、天皇杯との2冠という輝かしい1年を実現した2024シーズンの神戸。今年はリーグ3連覇や悲願のアジア制覇に挑む年となるが、ここ数年チームの軸を担った選手が数名、神戸から離れた。主将として高強度のチームスタイルを体現してきた山口 蛍が長崎へ、得点源でもあったCBの菊池 流帆は町田へ完全移籍。さらに昨季チーム2位タイの7アシストを記録した初瀬 亮は、海外移籍交渉中。この痛みは決して小さくない。
ただその一方で、横浜FMの小池 裕太、岡山のJ1初昇格に貢献した本山 遥ら野心をもった選手を獲得。既存戦力との融合を図りながらチーム力の向上に取り組んでいる。シーズン開幕を間近に控え、主力選手にケガ人が続出していることは気がかりだが、その代わりに出場機会を得る選手にとっては大きなアピールのチャンスだろう。昨季のFUJIFILM SUPER CUPでは川崎Fに敗れているため、同大会としては2020年以来の戴冠に挑むことになる。
昨季リーグ戦を2位でフィニッシュした広島は、神戸がJ1と天皇杯を制したことで今大会への出場権を得た。これまで2008年、13年、14年、16年と四度出場し、いずれも戴冠の栄誉に浴している(大会名称は、2008年がゼロックススーパーカップ、13年、14年、16年がFUJI XEROX SUPER CUP)。今回は9大会ぶり、ミヒャエル スキッベ監督体制では初の出場となるだけに、フレッシュな姿勢で臨むことになるだろう。
今季の広島は積極補強とともにシーズンをスタートさせた。昨季大きな成長を遂げた松本 泰志こそ浦和へ完全移籍したが、新たに加入した選手には名の通った実力者が多数。昨季J1で19得点を挙げたジャーメイン 良(元磐田)、湘南の中盤を支えた田中 聡、札幌のサイドを活性化し続けてきた菅 大輝、横浜FCのJ1昇格に貢献した井上 潮音、大卒ルーキーの中で屈指のアタッカーである中村 草太など。昨季途中に加入し、鮮烈なインパクトを残したトルガイ アルスラン、川辺 駿などを含め、充実した陣容となっている。
両者とも最善の準備を整えて試合当日を迎えることになるが、先発はやや不透明。ケガ人などの内部事情に加えて、両チームともに過密日程が待ち受けているからだ。
神戸は広島戦を終えると、中2日でAFCチャンピオンズリーグエリートのリーグステージ突破が懸かる上海海港(中国)との第7節がホームで控えている。広島は中3日で、AFCチャンピオンズリーグ2ラウンド16第1戦・ナムディン(ベトナム)戦がアウェイで開催される。その後の週末にはJ1の開幕戦も控えていて過酷な連戦に早くも突入するため、どのようなメンバー編成で臨むのかは大きな注目点だ。
いずれにしろ、今大会をもって2025シーズンの開幕は告げられる。新たな1年の華々しい第一歩を踏み出すのは果たしてどちらか。今季も引き続き、ライバルとして相対していくであろう両雄による、今季最初の“頂上対決”を楽しみたい。
[ 文:小野 慶太 ]


