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コラム

百年構想のある風景

2015/1/12 10:00

食育のまち

ふるさと土佐から旬の野菜や果物を満載したダンボール箱が届いた。日をたっぷりと浴び栄養がしっかり蓄えられた地元食材の味覚を、幼い頃から体が憶えている。 “食の冒険家”や“味覚人飛行物体”の異名を持つ東京農業大学の小泉武夫教授から南国市(高知県)で体験した食育の話を伺った。同市は、2005年“かしこく、心と体で食べる南国市の子ども”と題して「食育のまちづくり宣言」を発表。「家族そろって食事を楽しもう」、「作る人、買う人を信頼の輪でつなげよう」、「旬を食べる喜びを知ろう」を提案している。 取組みは、1997年にさかのぼる。週5日の学校給食をすべて米飯に変更し、お米には地元の中山間地域でとれる棚田米を。各クラスに2台の家庭用電気炊飯器を購入し、まず炊きたてご飯を提供することから始めた。

この10年間、地元の農産物を用いた学校給食を通じて、子ども、家族、地域住民みんなの連帯する心が育っている。 「みんな、自分たちのまち(南国市)が好きかい?」小泉教授は、昨年再び同市の小学校を訪れ子供たちに質問した。「だ~い好き!」教室中にVサインで答える大きな声が響きわたる。地元の食材を楽しむようになってから、病気の子も学校を休む子もめっきり減り、いじめもなくなった。成績も向上し、給食も残さなくなったことが実証されている。 小学校時代、担任の先生から生徒一人一人に花壇の持ち場が割り当てられ、自分の担当する花マリーゴールドの水やりや草とりに夏休みの間も精を出したことを思い出す。店で売られている出来上がりの花からは、種をまき、水をやり、草とりをしながら、ゆっくりと発育する過程を学ぶことができない。

ゲームとは異なり簡単にスタートから始められるボタンは存在しない。 食育のテーマには、食事のマナーや栄養バランスが採り上げられることが多い。地域に根ざした食生活も、「地域とともに子どもたちを育てる」を理念とするJリーグアカデミーの活動に通じる大切なテーマである。 次世代を担う子どもたちには、暮らす土地への関心、誇り、感謝の気持ち豊かにゆったりと育ってもらいたい。もっともっと「土に触れる」ことによって。

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